踊る猫

アリスのままでの踊る猫のレビュー・感想・評価

アリスのままで(2014年製作の映画)
3.7
若年性アルツハイマー病を描いた映画。ジュリアン・ムーアの演技は流石に迫力があり、それでポイントをだいぶ稼いでいる。だが映画としての出来はどうか? どうも病状の進行を一本調子で描いた作品という印象が拭い去れない。エンターテイメント性なんてものを期待するとお門違いというものかもしれないが、それでも演出次第ではもっと「旨く」なりそうだった場面(トイレが見つからなくて右往左往する場面、薬を一気飲みすることを決める場面等など)が、そのストレート過ぎる映し方に依って単なる記録としてしか映されず、肝腎な感動の要素が取りこぼされているように感じられてならない。素材の良質さを活かせなかったという残念感だけがあとに残る。家族の間の葛藤や彼女を取り巻く「男」たちの身勝手さをもっと描いていれば……と惜しまれる(「男」たちの身勝手さはこの映画において必ず言及されなければならないものだろう)。
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