tjZero

アリスのままでのtjZeroのレビュー・感想・評価

アリスのままで(2014年製作の映画)
3.6
言語学教授のアリスは、50歳の若さで若年性アルツハイマー症になってしまう…。

言葉の専門家が商売道具である言語をどんどん忘れていってしまうのだから、そのつらさは常人には計り知れない。

しかも進行性の上、子孫には50%の確率で遺伝し、伝わったら確実に発症するというのだからシヴィアな事態。

そんなタフな立場に置かれたヒロインを、ジュリアン・ムーアが自然体で好演。
メリル・ストリープが演じてたら、もっとうまかったかもしれないけど、たぶん重くてしんどかったかも。
過剰な演技を抑えたムーアからは、主人公アリスの病に冷静に向き合う知性と、失わないポジティヴさが感じられる。
アルツハイマーの学会で、たどたどしくも真に迫ったスピーチを行なう場面が白眉で、映画の中の聴衆と一緒に拍手を送りたくなってしまう。

決して観ていて楽しくはならないけど、心に栄養をつけるため、こういうタイプの作品も鑑賞すべき。
病気への理解を深め、患者さんへの偏見をとり除く…という意味で存在価値の大きな映画だと思う。
tjZero

tjZero