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アリスのままでのはのレビュー・感想・評価

アリスのままで(2014年製作の映画)
3.8
あらすじ
50歳の言語学者で大学教授のアリス。
物忘れが酷くなり、ジョギング中自分の居場所が分からなくなってしまったことから、診察を受ける。
診断結果は若年性アルツハイマーだった。

感想
割と淡々と、大袈裟な演出なく起きることを描いていく感じ。
アルツハイマーに罹った側からの目線中心で、恐ろしさに感情移入しやすい。

動画見てからのシーンが良かった。
覚悟と決意を持ち、計画を立てておいた用意が、一瞬割り込んで来た他愛もないことに気を取られ、もう思い出せない。
記憶が魂を手放してしまったかのようなシーンで切なくなった。
切なくなった、という表現では足りないけど。

その状態になると、それを誰にも伝えられない、そして戻ってくる術もない、という面では、ほとんど死と同義なんですよね。
本人が希望するなら、望む通りのタイミングで望むように終わらせる仕組みって、自分は必要だと思います。
周りには決められないから。

この映画ではかなり症状が軽いところまでしか描かなかったけど、周囲にとっての本番はこれからなんですよね。
そしてそれは何十年単位で続く。

わたしの祖母もアルツハイマーだったんですがね、小さい頃のわたしは、祖母の様子を見て、魂というものがあるのなら、今この人の魂はどういう状態にあるのだろう?
とよく考えたものです。
元からそんなものないな、という結論にたどり着きましたけども。

でもごくたまーに帰ってくるんですよね。
三ヶ月に5秒くらい。
まあその瞬間が一番笑っちゃうんですけどね。
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