シュウ

ボーダーラインのシュウのレビュー・感想・評価

ボーダーライン(2015年製作の映画)
4.5
映像、音楽、そして役者の演技で作品中ずっと緊迫感を途切らさせず終始不穏な世界観に観ているものを没入させることに成功している

世界が綺麗ごとでいかないのはわかっている

ただ、本当にこんな血で血を洗うようなやり方でしか解決策はないのか
むしろこのやり方が、悪を生み出し続けているのではないか

同監督の「メッセージ」で、異星人に対して「麻雀を通してコミュニケーションをすると「勝負」の言葉ばかり伝わってしまう」というくだりがあった

まさにそう
彼らは勝負、戦場の言葉しか持っていない
その土俵で解決を試みたら
相手もその土俵で抵抗してくるのだ

終盤で「誰が始めた?」というセリフがあるが、まさに卵、鶏の世界
武力で押し潰すやり方は新しい悪の目を生み出すだけ
これを終わらせるには今乗っている土俵から一度降りるしかない

この負のスパイラルの深刻さと、
そこから降りること難しさを痛いほど実感する
シュウ

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