TEPPEI

ボーダーラインのTEPPEIのレビュー・感想・評価

ボーダーライン(2015年製作の映画)
4.6
こんな邦題つけたアホは本作の本質を全く理解していない、と友人の誰かしらが言ってた。メキシコの抗争ど真ん中で奮闘するFBIの女性捜査官とCIAによる大物ギャングを見つける…という簡単な設定にもかかわらず、本作は登場人物それぞれが抱える重く暗い部分を名演技で巧みに表現している。それにしてもこんなかたちでベニチオ・デル・トロのニュー・カマーぶりが観れるとは。「ウルフマン」の恐ろしいツラに対し、本作のアレハンドロを演じたデル・トロは重々しく、冷徹で、ハマっている。お前らそっくりだな〜と何度か思ってしまうジョシュ・ブローリンとは続編でも共演が決定している。それにしてもこういった独立作品で続編製作も珍しく、何が驚きかといえば思ったよりアカデミーにはスルーされた本作。十分オスカー獲得に値する映画だと思うくらい「傑作」と呼べる映画にはなっている。
総評としてドゥニ・ビルヌーブ監督の重いショットと役者たちがかなり引き立った映画で見応えも緊張感もある1本。「プリズナーズ」よりこっち。「ブレードランナー」頑張ってねと応援したくなる。
多くは語れないけど、ラストの拡散する感情は何ともいえない。この映画は力強い。
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