調伏系V魔虚羅

ボーダーラインの調伏系V魔虚羅のレビュー・感想・評価

ボーダーライン(2015年製作の映画)
4.7
知れば知るほど深まる闇。この戦いに終わりはあるのか──

巨悪化するメキシコ麻薬カルテルを殲滅すべく、特別部隊へリクルートされたFBI捜査官ケイト。部隊を指揮する特別捜査官に招集され、謎のコロンビア人アレハンドロと共に国境付近を拠点とする麻薬組織ソノラカルテルを撲滅させる任務に就くが…。

そこは国の定めた法など通用しない世界。作戦の大まかな概要しか知らされず、仲間の動向さえも分からぬまま決行される常軌を逸した極秘作戦。汚職警官が常に潜む恐怖。善悪の境界線は徐々に霞み始める。
何も分からぬまま未知の異世界へと放り込まれるケイト。観客は彼女に自身を投影し、この異世界を体験する訳だが、まさに異世界という言葉が相応しい、何処も彼処も熾烈を極めた戦場。常識に従って行動した者から命を落とすという、何とも皮肉な作りがラストでのケイトとアレハンドロの別れシーンで効いていて秀逸。安全圏に住む私達が見た事も無い別世界をこうもリアリティと残虐性をもってして、分かりやすくも見せる事が出来るドゥニ・ヴィルヌーヴの監督力とテイラー・シェリダンの脚本には驚かされる。
調伏系V魔虚羅

調伏系V魔虚羅