Masato

グレイテスト・ショーマンのMasatoのレビュー・感想・評価

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)
3.5
IMAXにて鑑賞

音楽をふんだんに取り入れた作品が人気となる昨今の映画界、「ララランド」に次ぐ、王道のミュージカル映画。

ストーリーの密度は薄くありきたりではある。そのかわり、ミュージカルの密度が多く、テンポが良くて全くもって飽きさせない内容であった。

実在の興行師P.T.バーナムの人生を基にしているが、実話と謳っていないことからして、多くの設定は事実であるものの結構な脚色をしているように思える。

昔に使っていた20世紀フォックスのロゴから興奮度マックス。クラシック映画を意識した冒頭のタイトルなどは往年の名作映画へのリスペクトであろう。
19世紀が舞台であるものの、音楽は現代のポップ感が強めで誰が聞いてもノリに乗れる。色彩豊かな映像はまさに昔のハリウッド映画らしい。人生賛歌なストーリーも昔の映画を思い出させる。

主人公のバイオグラフィー、夢を追い求めることの大切さ、身近な人々の大切さ、地に足がついていることの大切さ、差別・偏見へと立ち向かうことの大切さ…
テーマが多くあり、映像などの表面上の絢爛さ以外にも、バックグラウンドがボリューミーでお腹いっぱいである。が、多くある分、各々のテーマが分散されていてメッセージ性に深みがないと感じた。個人的には、もっとこの映画を通して伝えたいことを深掘りして1つのテーマに焦点を当てて欲しかった。

先述したが、音楽はポップで聴きやすい。その中でも、先日GG賞歌曲賞を獲得した「This is Me」は鳥肌が立つほどに素晴らしい曲だった。
この映画のテーマの1つである「差別と偏見への対抗」を象徴づける1曲だ。外見に障碍を持ってしまった人たちは社会から認知されることを拒まれてしまう。自分は価値のない存在だと感じてしまうが、周囲の評価は全く無意味で、自分が自分らしくあることや、自分に自信を持つことの意思がこの1曲に表されている。
現代社会ならではの「多様性の受容」と19世紀の「見世物小屋」を掛け合わせたのは良いと思った。

あと、気に入った点で、上流と下流階級の芸術文化の差を描き出し、微々たるものではあるが、レビストロースのブリコラージュのような文化の優劣はないとしたメッセージをも受け取れた。


キャストに関して、ディズニー出身のザックエフロンとゼンデイヤのコラボはすごくよかった。ゼンデイヤは美人でスタイル抜群でダンスもキレキレで言うことなし。完璧。
劇団出身のヒュー・ジャックマンは衰弱したウルヴァリンから一転、ずっと笑顔のイケメンおじさんで歌い方もハツラツとしていてカッコよかった。ホームグラウンドに戻れた感じがして、本人は気分が良かっただろうと思う。
ミシェルウィリアムズは、夫のヒースレジャーが亡くなってからずっと幸薄そうな役と顔で、見るのが辛かったが(とくにマンチェスター・バイ・ザ・シー)、今回は心の底から笑っているようで、しかも幸せな役柄で安心した。
M:iの美女枠で活躍したレベッカファーガソンはいつもながら本当に美人。あんな顔でキス迫られたらするしかないでしょ。ヒューよく耐えた!
キアラセトルの歌声は力強くて良き。人柄の良さが全身に滲み出てた。


追記
「夢が踊り出す」と謳うほどの絢爛さはなかったような気がする。テーマが分散したと書いているが、それは即ち106分の尺ではあまり足りないという意味。他のレビュアーさんが言っていたように上澄みだけを描いているだけなので味気なく感じてしまう。あと、バーナム氏を美化しすぎという感じがして違和感。

客観的評価 35点
主観的評価 39点

74点
Masato

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