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グレイテスト・ショーマンのhirogonのレビュー・感想・評価

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)
4.0
オープニングからガッツリと心を掴まれます!
歌と踊りを楽しむミュージカルです。

ヒュー・ジャックマンを始めとした面々の歌と踊りが素晴らしい!
お話も悪くはないですが、シンプルなストーリーです。感情の起伏も歌と踊りでみせるミュージカルは、これくらいのシンプルさでもOKかな。

実在の興行師、P・T・バーナムがモデル。
wikiによると、本作の主要なエピソードは実話に基づいているようです。

P・T ・バーナム(ヒュー・ジャックマン)は、貧しい仕立屋の息子として蔑まれた子供時代を過ごす。
その後、裕福な家の娘、チャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)と結婚し、二人の娘も生まれていた。
しかし、勤め先をクビになり、銀行から借金してバーナム博物館を開くものの、客が入らずサーカスショーのアイデアを思いつく。”ユニークな人”を集めてショーを構成しようと、人材を募集します。

そして集まったのが、
小人のトム将軍、チャールズ(サム・ハンフリー)。
ヒゲ女で歌の上手な、レティ(キアラ・セトル)。
ブランコのりの、アン(ゼンデイヤ)と兄の黒人兄妹。
その他に、巨人、デブ、、、etc.
さらに、興行パートナーとして、フィリップ・カーライル(ザック・エフロン)も加わります。

集められたユニークな人達は、世間からは好奇の目や蔑みの目で見られてきて、目立たないようにひっそりと生きてきた者達。お金儲けを第一目的とした計画ではありましたが、サーカスショーは、そんな彼らに表舞台と表現の場を提供することにもなります。
サーカスは、彼らの家となり、仲間となり、家族となっていくのです。
その後のバーナムの行動には、ちょっと眉をひそめるようなところもあるのですが…。

お客の入りはupしますが、批判的な評論家や反発する街の人も多い。
ショーはサーカスの要素もありますが、歌と踊りを中心に据えたエンターテインメントショーの色合いが強いものです。

その後、ヴィクトリア女王との謁見、著名なオペラ歌手ジェニー・リンド(レベッカ・ファーガソン)のアメリカ公演、フィリップとアンの恋、、、などが描かれますが、反発する街の人達と争いが起きて…。

ヒュー・ジャックマン以外では、ザック・エフロン、ゼンデイヤ、キアラ・セトルなどが印象に残ります。
オペラ歌手ジェニー・リンド(彼女も実在した歌手)を演じたレベッカ・ファーガソンの歌も鳥肌ものでした。

ラストは、何度かでてくるサーカスのグレイテストショーと融合したミュージカルシーン!
オープニングと共に、エンディングも素晴らしかったです!



(2回目鑑賞後の追記)~2018/2/23
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(ネタバレあり)

2回目、ドルビーATMOSで鑑賞。

色々と議論のあるストーリーについては、「これはこれであり!」というのが2回目鑑賞後の結論です。
本作の議論の焦点は、大きく以下の2点があると思います。(他の指摘はちょっと置いておきます)

1つは、ストーリーの描き込みと時間やテンポのバランス点をどこにするか?という課題。
「何に重点を置いて見てもらうか?」という制作側の狙いと、「何を期待するか?」という鑑賞側とで、着地点をどこにするか?
そして、もう1つのテーマが”見世物興行”という題材自体が持つ”影”の部分に対する、バーナムという人物とユニークな人たちの扱い方。

【ストーリーと時間のバランスと全体のテンポ】
本作では、ストーリーとそれに繋がる歌・踊りのテンポを重視する方針のようなので、”ストーリーの展開が速く描き方が浅い”という部分はトレードオフ項目として許容範囲と感じます。
もし可能ならば、以下の2つのバージョンがあったら面白かったかも?

1)歌と踊りのテンポ重視版(現状バージョン)
2)さらに30分くらい延ばして、ドラマ部分の人間描写も深ぼりした完全版


【見世物興行とフィニアス・テイラー・バーナムという人物像】
”見世物興行”という題材自体が持つ”影”の部分は、バーナムという人物を取り上げた時点で、避けて通れない内容です。

ジェニー・リンドの公演で、サーカスの仲間たちを目立たない立ち見席に追いやり、パーティー会場への入場も遠回しに拒絶したバーナムに対するレティたちの悔しさと哀しみに満ちた視線。
これについては、バーナムを擁護する余地はないですが、話としては、あの場面があってこその、あの感動的なミュージカルシーン”this is me”ですし…。

しかし、ジェニー・リンド公演後の仕打ちで受けた心の傷からバーナムとの関係を修復するまでは、本作の重要部分でもあるので、お互いの葛藤と”光”への転換をもっと描いて欲しかったところです。
さらに、ユニークな人たちが過去に受けた仕打ちについても、もう少し描かれていれば、より感情移入できるストーリーになったと思います。
以上を描くには時間が必要なので、上記の”時間とテンポ”で言及したような、ドラマ部分も充実させた完全版を今からでも作ってくれると嬉しいのですが…。

終盤に、バーでレティたちがバーナムを励ますシーンでは、サーカスの仲間がバーナムを見つめる視線が優しい。
レティはバーナムに伝えます。「お金儲けが目的だったとしても、隠れて暮らしてきた自分たちに場所と仲間を与えてくれたのは、あなた」と。
この言葉は重要です。動機に不純な部分があったとしても、結果としては、確実にレティたちに居場所を与えたということ。
そして、サーカスの仲間はバーナムに対する感謝の気持ちを持っているということ。

実際のバーナムがどういう人物だったのかはさて置き、映画では、欠点はありつつもトータルでは仲間から愛される人物であるように描かれています。
欠点のない人間はいないので、トータルで見て人を評価する視点は必要です。
そういう意味で、”Freeksを見世物にした”という点だけに拘ってしまうと、全体が見えなくなってしまいます。
以上のようなことを考えると、”見世物興行”という部分への嫌悪感で、作品全体を否定してしまうのは勿体ないと感じられます。
現状の作品でもミュージカルシーンは十分に素晴らしいので、お金払った分は楽しまないと勿体ない!?(笑)
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