『ララランド』のスタッフがセット中心の舞台で丁寧に作り込んだミュージカル。
ヒュー=ジャックマンはアカデミー賞の司会をしたとき、ミュージカル仕立てで映画史を歌って踊ってみせた。その巧さがオープニングから光る。
ウルヴァリンなのに。
妻はミッシェル=ウィリアムズ、薄幸な役をやらせたら右に出る者はない(ハリウッドの木村多江)。『ブルーバレンタイン』も『マンチェスター・バイ・ザ・シー』も『ブロークバック・マウンテン』もみな良かった。
主人公のバーナムは実在した人物で、いわゆる「シャム双生児」などフリークスを見世物にしたとか商売の道具にしたとか、批判は多いだろうが、この映画ではそこへの自省も盛り込んである。
「私を見て」「これが私」というメッセージも力強い。
何よりも歌と踊りというシンプルかつダイナミックで、魂に訴える表現がすばらしい。
移民の国で出自が多用だが、誰でも、元気にさせようというアメリカのエンターテインメント精神が凄いのだろう。