然るべきタイミングで然るべき音楽と演出が秒でブチ込まれ、もはや感動麻薬かと思うほど頭から終わりまで感動を促される。エンドロールの頃には感動しすぎて泣き疲れてしまった。
非常に満腹感のある作品だった。しかしここまで全部が全部冒頭から終わりまで畳み掛けるような良い話でなくてもよいように思った部分はあった。
そこでやはりどうしても比較してしまうのが同じスタッフが撮ったという「LA LA LAND」。
この作品の価値観とか美学って「LA LA LAND」とは対極的な位置にあるような気が僕にはする。スタッフは同じでも監督が違うと変わるなと素直に思った。
美術と演芸の垣根はない、けど嗅覚はそれを嗅ぎ分ける。
間違いなく「グレイテストショーマン」は感動できる面白い映画だ。ただ作品の全てが"人を感動させる"この一つの事だけの為に存在する大きな機械になってしまっている気がした。
そして劇中の音楽にも同じ事が言えると思う。とても感動できる良い曲。けれどどの曲もビートの効いたアゲアゲのサウンドで、バリエーションが乏しく思いました。悪く言ってしまえば全部同じ曲に聴こえた。
けれどこれは評価どうこうじゃなくて素直な感想として声を大にして言いたいんだけど、この映画のレベッカ・ファーガソンの歌唱シーンは本当に美しくて、あまりの完璧さに芯から心奪われてしまった…。
その瞬間の主人公と僕の気持ちはもう完全に一致だったと思う。
ただただ「美しい…」だった。
