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グレイテスト・ショーマンのdeenityのレビュー・感想・評価

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)
4.5
ミュージカル映画として話題になった『ラ・ラ・ランド』の制作スタッフが手掛けた同じミュージカル作品ということで非常に注目を集めた本作。予告だけで興奮して見たくなった人も多いはず。「この作品しかない!」と思い、満を持して行ってきました。大阪。エキスポシティIMAX次世代レーザー2D。
まずその感動を伝えさせて下さい。凄いです!スクリーンが一面にブワッと広がって、どれだけデカいんだって感じです。目一杯広がるスクリーンに加え、素晴らしい音響。一本の映画のために大阪まで行くというのはさすがに…とも思いましたが、この迫力でこの感動を味わえたなら、そしてこの作品だったからこそ、満足させられたように思います。

本作はP.T.バーナムというサーカスを設立したと言われる人の実話を元にしています。結構ストーリーに関しては賛否両論あるようです。まあ事実の綺麗な部分だけを誇張したような作品になってますからね。でも私は全然気になりませんでした。
なぜなら本作にはそれだけの力強いパワーがあるからです。観客を楽しませるためのパワーに溢れています。もちろん、いい劇場で鑑賞したことで何割り増しかにはなっているかもしれません。
しかし、どの曲も、どの演出も、どの歌声も素晴らしかったことに違いはありません。

冒頭のオープニングシーン、いきなりテンションを上げられます。小さな幸せを願うようなしっとりした歌も素敵じゃないですか。脚本家を仲間に誘うシーンの演出も見ているだけでワクワクします。レベッカ・ファーガソンの演じるリンドの圧巻のソロパートなんか鳥肌が立ちました(本人ではないですが)。どれも名曲で、どれも色鮮やかで美しく、ミュージカル映画としては最高峰と言えるでしょう。

確かにストーリーは薄いかもしれません。描ききれてない部分はあると思います。主人公についての知識がある方からすると納得いかないかもしれませんが、私はこの作品として言えば全く問題ないと思っています。なぜなら、本作こそがまさに「サーカス」そのものだと思えるからです。

仲間を集めていくシーン。確かに差別的に感じるシーンかもしれませんが、この時代の背景を考えるとそれを個性として手を差し伸べ、そして逆にそれを生かして人気者になっていくことって素晴らしい発想だったんじゃないかと思います。
事実云々は置いといて、あくまで本作の中では「一緒に金儲けをして一花咲かせよう」という利害の一致が明確にされているため、差別的で煙たくなるようなことはありませんでした。むしろそこでできた繋がり、家族という関係を表現する上ではそのくらいが十分だったように思えます。

本作の主題は差別問題を云々とかではなく、エンターテイメントとして映画という、本作で言えば106分間を楽しむことがメインであり、だからこそ楽しくハッピーになれる作品じゃなきゃいけないのだと思います。内容どうこうというよりは上映時間をフルに使って、歌で、ダンスで、演出で、時には楽しませ、時には泣かせ、時には感動させる。それこそが本作の根底にある部分だと私は思います。だから本作はサーカスとして、事実をねじ曲げているかもしれませんが、それでも観客を楽しませるよう見せる必要があったのだと思うのです。
そう考えるとラストの「最も崇高な芸術とは人を幸せにすることだ」というバーナム自身の引用句は、まさに本作を体現しているのではないでしょうか。
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