正に作品としての勢いのみに特化したような作品。
ミュージカルシーンのクオリティは高く、瞬間的なテンションは否が応でも上がるが、
逆にそれ以外の部分に吐出した部分はなく、脚本の部分においてはどうなんだと
思わざる負えない作品になってはいる。
これがミュージカル映画だ
と言われればそうなのかもしれないが、
やはり人間ドラマあってのミュージカルシーンなので、
ミュージカルシーンがより盛り上がる脚本と構成の作品を作れていないのは、やはり残念だと思わざる負えない。。
米国では脚本家から酷評を受け、観客からは評判が良いという 記事を読んでいたが、鑑賞後はなるほどと納得した。
【良かった点】
(ミュージカルシーン)
そう言わざる負えないくらい他の部分が、、、という事情はあるが、
正にミュージカルシーンのためだけの映画といっても過言ではないくらい素晴らしかった。
作品自体の出来に不満がある人も、少なからずこのミュージカルシーンはテンションが上がっているはずだとは思う。
まずは、冒頭のいきなりの「 The Greatest Show」のミュージカルシーンで、テンションが一気にMAXに上がる。冒頭のシーンが一番、テンションが上がってしまったというのは残念な点ではあるが、、、。
次に好きなシーンは、バーナムとフィリップの酒場のシーン。
お互いに探り合いで交渉をしているシーンではあるが、作品内の中でも印象的なコミカルなシーンでに残った。
フィリップとアニーのミュージカルシーンは、個人的に一番好きです。
正直、歌はあまり印象に残らなかったが、ミュージカルシーンの映像としての見せ方がとても上手かった。
暗闇の中に照明が当たり、重りを使ったロープ?のアクションが神秘的でとても引き付けられました。。
このミュージカルシーンだけでも、映画館で見たかいはありました。
(ヒュージャックマン)
とにかくヒュージャックマンの存在感は相変わらず、良かった。
演技面などでは今作で印象に残るシーンはなかったが、
ミュージカルシーンでの存在感が半端なくカッコいい。あの長身のスタイルの良さとスターとしての存在感。
彼のおかげでミュージカルシーンの見栄えが3割り増しくらいになっていたと感じた。
ラストにヒュージャックマンに代わりザック・エフロンが「The Greatest Show」のミュージカルを踊っていたが、正直 見劣り具合が凄かったですね。
【悪かった点】
(脚本・構成)
ミュージカル映画なのである程度仕方のないことを考慮しても、人間ドラマの部分があまりにも雑すぎる。
ミュージカルシーンに比重をおいているのは理解できるが、人間ドラマありきのミュージカルシーンなので、ミュージカルのシーンとしてはもの凄く高揚しても、
瞬間的な高まりだけで、正直 後にはあまり心に残らないようになってしまっている。
そこまでのドラマとしての過程をもっと丁寧に描けば、カタルシスが生まれ、グッと来るようなシーンに出来たであろうなと感じます。
この点は、作品全体の部分に言えるので、非常にもったいないなと感じました。
また、ミュージカルシーンで全ての問題を片づけすぎていた気もします。
後半はとにかく歌えば、とりあえず問題解決という安易な展開のように感じてしまい少し退屈に感じてしまいましたね。
(キャラクターの掘り下げ)
人間ドラマがとにかく雑なので、登場人物の掘り下げが殆ど出来ていなかった。
登場人物の掘り下げも殆ど、表面的な部分しかしないので 何故、登場人物がそのような行動をとるのかという部分が何度もあり、感情移入できない。
どうしてもこれはミュージカル映画だから仕方ないのか…と客観的に無理やり納得させている自分がいました。
特にサーカスのメンバーの登場人物の掘り下げが本当に弱くて、「this is me」という
この映画を代表する曲のミュージカルシーンでは、曲は良いけど この作品展開でこの曲使うの? と殆ど雑にしか見えず・・・。正直、変な格好の集団が少し入場することを断られただけで、デリカシーがなさ過ぎるとお前らが悪いと思わざる負えない。
絶対、もっと良いミュージカルシーンの見せ方があっただろうな・・
また、P・T・バーナムの人物像としてもとても中途半端だと感じた。
実際のアメリカの興行師として活躍したが、その少し行き過ぎた演出などから、新聞や町の人から「詐欺師」と呼ばれていました。
映画はバーナムの行き過ぎた行為をかなりマイルドに見せていたので、正直 彼が町の人から詐欺師呼ばわりされる下りは、とても違和感がありました。
実際の出来事と映画としての演出のバランスが悪いなと思わざる負えなかった。
歌手のジェニー・リンドとの下りも見せ方が下手だなあと感じました。
正直、大人として分別がないわがままな女性にしか見えず、せっかく 歌のシーンは素晴らしかったのに、映画を通してみると、結局 彼女は何だったのか?と感じてしまった。
せっかくのレベッカ・ファーガーソンは ただのそんな役回りにしか見えず、少し気の毒に感じました。
(曲と時代のミスマッチ感)
ミュージカルシーンの曲は素晴らしいなと感じましたが、どうしても作品内の時代感とマッチしていないような感じました。
曲が全体的に現代のポップな雰囲気の曲で、絶対に作品内の時代にないような曲の雰囲気ばかりで、少し気になってしまいました。
制作側から熱意が伝わる映画ではあったが、全体的に残念な部分が目立ってしまうような作品ではありました。
初監督の作品ということで、監督の技量不足は否めないと思います。
細かい部分に目を瞑れば、ある程度は楽しめる作品には間違いないので、興味がある方は映画館での鑑賞をおススメします。