じょ

グレイテスト・ショーマンのじょのネタバレレビュー・内容・結末

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

よいと思ったところ
・歌とダンス(というかアクロバティックなパフォーマンスも)の勢い。ハイスクールミュージカルのあのノリを思い出して懐かしくなったし圧倒された。ミュージカルっぽい小技(バーのシーンとか特に)も魅せられた。ちょいうるさいとも思ったけどね
・「エンターテインメント!」な世界観。衣装やセットが華やかでよかった。
・分かりやすい展開
・ザック・エフロンが歌って踊ってた~ありがとうございます!という感じ。もっと彼の見せ場が多くても良いと思ったくらい。とりあえずハイスクールミュージカルを見返そうという気になった。

残念だったところ
そもそも、実話をベースにしているということなので仕方がない部分も沢山あるのだとは思うし、めちゃくちゃひねくれた見方をしてしまったのも分かっている、、、こういう見方をする映画じゃないんだよ!てのも承知

・何となく予告からうさんくさそうだな~とひねくれた感じで観ていたから、単純に世界観があまり好きではなかった。本とか映画とかで、この時代のサーカスが人権無視したひどいものだってイメージもついてたし。幼少期の部分も、悲惨な状況で育った割にはなんかポジティブだし、歌にしちゃったからテンポが良すぎて感情移入できなかった、、、もっとずどーんと暗い雰囲気の方が、のちのちバーナムが拗らせたってことに納得いく
・展開が早すぎて感情移入する前に新たな展開。ミュージカル風だからテンポ命なのかもしれないが、もう少し個々の内面の変化というか心の動くシーンを丁寧に書いてくれるとよかった。特に最初、小さな方を説得しにいくとことか。勝手な偏見かもしれないし、本人の気持ちは分からないけどこれまで恥ずかしいものとされてずっと隠されてきた人ってもっと世間に対しての不信感とか、怒りとかないのかな?あんな薄っぺらい言葉で説得されるもの?バーナムが「でも金になる」って言った瞬間、私だったら絶対顔も合わせたくないけどな。でも、それでも外の世界に出て、皆の前に出ることは憧れなのかな。当事者じゃないから分からない。
この段階で説得に応じる人と、抵抗感を持つ人両方を描いて欲しかった。

・ザック・エフロンもまた安直。
上流階級での居心地の悪さを感じているようには到底見えない登場の仕方だったし、むしろここでずっと育ってきた世間知らずの坊ちゃんぽい感じの印象を抱いたから、歌一つで簡単に心が動くのがびっくりした。どの時点からマイノリティーへの寄り添いの視点とか、仕事へのやりがいを感じるようになったのかが良く分からなかった。恋したから?(笑)終始、ぼんやりとした印象のキャラ。

・バーナムが拗らせた自己中ポジティブ人間にしか見えない。失敗も反省もやたら急展開で、ヒュージャックマンの笑顔が素敵すぎるのがかえってうさんくさい印象しか持てなかった。

そもそも、この時代の見世物小屋的なものに勝手に良いイメージを持ってなかったから最後までひねくれて見ちゃったんだと思う。「道」とか、他の作品観ても思うけど。
「多様性」という文脈ではなく、「特異なもの」「普通から外れたもの」として、金儲けの道具に使ってたのが現実では。
映画内でのバーナムのキャラ設定は置いておいて。当時の客全員が単純にパフォーマンスに感動していたわけはないと思うし、どんどん「見世物」としての型ができていくだけな気がしてしまう、バーナムがどんどん拗らせていったことからも分かるように、彼は人としてよりも商品として皆を扱っているように見えてしまったし、あんまり善意とか感じられなかった。記者が「人類の祝祭」と言った時点でもう観たくない、という気持ちになった。でもこれも、私が勝手に想像したものだから本人たちがどう感じてたのかはその時代に生きて、見なきゃ分かんないな〜。金儲けの道具であっても、そっから得る恩恵とかあったのかもしれないし、自信に繋がったりとかあったのかもしれないし、、、うーん。仲間ができたのは良かったね。前に出たい人、出たくない人、両方映して欲しかった。彼らがみんなの前で自分らしくなれたのならそれは良かったと思うけど、バーナムのやり方があんま好きじゃなかっただけかな。目的があれでも、結果が良ければ良いのかな

でも、これはたぶん私の好きな映画的ストーリーを求めて観に行ってしまったからであって、舞台として観るんだったらとても良かったんだと思う...!現実は物語のようなプロットでは進まないみたいなことシネマスティックで言ってたけど、そういうのばっか求めちゃだめだな!反省!て気づかせてくれた映画。映画と現実をごっちゃにしてはダメらしい。
じょ

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