あーさん

グレイテスト・ショーマンのあーさんのレビュー・感想・評価

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)
4.4
最初のうちはCMで曲を聴くたびに気持ちが高ぶっていたのだが…
意外にも賛否両論、P.T.バーナム自身のことがセンセーショナルに取り沙汰された文章を読んだり、"ユニークな人々"の扱いはどうなっているんだろう?などと深く考え始めると観るのが怖くなってしまっていた今作。。

その昔、京都の八坂神社に出ていた見世物小屋(怖くて通り過ぎただけ、、)のことや小学生の時に観てあまりにも可哀相で号泣してしまった"エレファントマン"のことを思い出し、P.T.バーナムという人は一体どういう立ち位置なのだろうか?ということが私にとってはとても大きなハードルになっていたのだ。。

歌とお芝居の融合も違和感がないか、そこも気になっていた。


鑑賞した結果、、


大好きな要素がいっぱい詰まった傑作だった!!!


まず、冒頭のシーンからして心を掴まれる。
映画が始まると同時に「さぁ、ショーのはじまりだ!」とばかりに歌と踊りで盛り上げてくれる"THE GREATEST SHOW "はクイーンの"WE WILL ROCK YOU"みたいなリズムがお腹に響く。
よっしゃ、心の準備はOK!

そして、地味ながらも私の印象に強く残ったのはバーナムの少年時代の描写。貧しく、数々の情けない思いをしてきた彼だったが、茶目っ気や夢を忘れず、ひたすら自分よりもはるかに裕福な家の娘チャリティを思い続けた日々。
そこに彼の人生の原点があるように思った。
"A MILLION DREAMS" が優しく彼らの子ども時代を彩る。

その後バーナム(ヒュー・ジャックマン)は反対されながらもチャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)と結ばれ、2人の娘にも恵まれる。
この娘ちゃん達がかわいいのなんの!お揃いみたいな服を着て歌ったり踊ったりする女の子達…本当にかわいらしいなぁ。。
その娘達とのやり取りするうち、バーナムが仕事に取り入れていったアイディアもあった。
誕生日の娘のために彼が即興でプレゼントとして思いついたあることをするシーンは、それはそれは幻想的で美しい。。
お金がなくても心尽くしのプレゼントを考えつく、発想が豊かな人なんだなぁと思う。


ここからバーナムの怒涛の人生が幕を開ける。。

仕事をクビになり、ちょっと変わった自前の博物館を思いついてから紆余曲折を経て、ユニークな仲間達との出会い。
どこかマイケル・ジャクソンの曲を思わせる"COME ALIVE" はバーナムのショーへの熱い想いを乗せて。。

しかし、発想の奇抜さ故になかなか町の人々に認めてもらえない。
新しいことをする者が叩かれるのは世の常。。
それでも負けない強いハート!
それも家族やパートナーの支えがあってこそ。

そう、後にビジネス・パートナーとなるフィリップ(ザック・エフロン)がここで登場!
彼は架空の人物らしいが、このキャラがストーリーにアクセントを与えている。
バーナムが上流の人々にも認められているフィリップを口説く酒場のシーンは、、
"THE OTHER SIDE"
二人の夢が一致する瞬間!

裕福になり、更に成功を追い求め過ぎるがあまりに途中で大切なものを見失ってしまいそうになるバーナム。
でも、わかるよ。だって、ニセモノとか詐欺師とか成り上がりって言われたくないもの!娘達の為にもホンモノになりたいんだ、、って気持ち。けれど、それが少しズレてしまった。。

バーナムのプロデュースでアメリカ・ツアーをすることになった歌姫ジェニー・リンド(レベッカ・ファーガン/歌 ローレン・オルレッド)の"NEVER ENOUGH"が素晴らしい。。
彼女も自身の出自から心に埋められない寂しさを抱えていたのだった…。


"THIS IS ME"
キアラ・セトル

"REWRITE THE STARS"
ザック・エフロン&ゼンデイヤ

"TIGHTROPE"
ミシェル・ウィリアムズ


それぞれ見せ場がある心に響く素晴らしいシーンの数々。
アクター達が真に迫って踊り、歌い上げる。
本当に俳優陣の歌も踊りも演技も
これ以上ないくらいのパフォーマンス!
ブラボー!!

やっぱりサントラ必須だなぁ。。

彼らの人生がまたバーナムの人生と重なり、作品に奥行きを出している。

心配していた違和感はどこにも見当たらなかった。

人を笑わせるのが大好きだったバーナムは、少年時代のいたずらっぽい眼差しを持ったまま大きくなった。貧しさに負けず、卑屈にならず、夢を諦めず、多くを得て多くを失った。いわゆる善人ではなく、時には自分勝手に突っ走ったり道を間違えたりする、いかにも人間臭い彼。私の中で、バーナムのキャラクターにブレはなかった。

結果としてユニークな仲間達に居場所を与え、ショーという魔法で人々を日常から解放し、笑わせ、幸せにした。芸術の垣根を取り払い、上流の人々だけでなく市井の人々にも楽しみを与えた。

幾多の試練、失敗を乗り越え、最後にバーナムが取り戻した人生で一番大切なもの…
それは何だったのか?

知りたい方は是非、劇場へ!



間違ってもいいんだ、
誰かのようでなく自分らしく生きること、
大切な人と支え合っていくこと、

つぎはぎだらけの人生そのものを力強く肯定してくれる、人間賛歌!

素晴らしいナンバーと共に
"私はこのままの私でいいんだ!" と思わせてもらえた、素敵な素敵なミュージカルだった。。

新しいミュージカルの時代はもうとっくに始まっているのかも!!



ヒュー・ジャックマンのことがより好きになった。。



*記録

2018.2.27 IMAXで鑑賞
2018.3.6 字幕2D版 鑑賞
2018.9.21 爆音音楽祭にて 字幕2D版 鑑賞




*追記(ネタバレありなので未鑑賞の人は読まないで下さいね!)

2回目を鑑賞して、またしても大きな感動をもらい、サントラを聴きこみ、どんどん好きになっていく中で、何故今作の良さがストレートに伝わらないのかな…という気持ちに。。
なので、どこがどんな風に好きなのかもう少し詳しく私なりに分析してみることにした。

まず、バーナムの少年時代。
一度目は物語が走り出す前だったので気づかなかったが、娘達に見せたあのライトのキラキラを少女時代のチャリティに見せているシーンがあったのだ!朽ちたお屋敷に忍び込み、探検するシーン。
ああ、やっぱりここに原点が。。
より深く納得することができた。

バーナムは貧乏な上にたった一人の肉親である父にも死なれ、天涯孤独になる。パンを盗んで捕まり、殴られるシーンは本当に心が痛む。。そんな時にそっとリンゴを差し出してくれた、いわゆる人々から遠ざけられた一人の女性。
バーナムがユニークな人々を雇い、金儲けに利用しているとの意識はこのシーンを観ていたら出て来ないだろう。
バーナム少年は負けていない。子どもなりにどうすれば生きていけるか、考えるのだ。
捨てられていた新聞を大袈裟な言葉を付けて売りさばく。商魂たくましい。彼は失うものは何もない。普通のことをしていても見向きもされない存在だから、清く正しくなんて言ってられない。生きていけなかった。
愛するチャリティとの手紙のやり取りが彼を支えた。
たったひとつの真実。人生の灯火。

そんな彼の力強い生き方や大きな夢を見ることを諦めない所を素敵だと応援し続けるチャリティ。
彼女の生き方や行動も本当に素晴らしい!
裕福に育った彼女には妙な物欲もなく、心の豊かさが大事だというブレない自分の軸を持っていた(息子には配偶者をATMみたいに思う人ではなく、チャリティみたいな人と結ばれてほしいな、と心から思う笑)。

バーナム、チャリティを始め、今作のキャラクター達の魅力も大きく作品を支えている。

彼らの二人の娘キャロラインとヘレン。
かわいいだけではなく、お父さん顔負けのアイディアガールズ♫ラストのバレエのシーンは本当に見せ場!

そして、バーナムが口説き落としてビジネスパートナーになった上流階級出身のフィリップと空中ブランコ乗りのアンとのロマンス。なかなか進展せずやきもきさせられるが、ある出来事を境に急接近する。このエピソードも好きだ。
フィリップ役のザック・エフロンは名前くらいしか知らなかったのだが、揺れ動くおぼっちゃま(笑)を上手く演じていた。
アン役のゼンデイヤのきっぱりした態度、美しいスタイル、ほとんどスタントやセーフティーネットを使わず空中ブランコシーンを演じ切った女優魂、何よりも歌声が好き。。

忘れてはならないのはバーナムに部屋に入ることを拒否されてからの…"This is Me" を歌い踊りあげるレティ(キアラ・セトル)のド迫力!!
そう、虐げられし者たちはそんなにヤワではないのだ!
"気をつけろ、私が行く"
この歌詞が最高!
CDでは"Look out"を"気をつけてね" と訳していたが、いやいやそこは"気をつけろ!"だよ〜

他にもトム将軍、双子の兄弟、ユニークな人々の笑顔や生き生きと踊る姿が私の心に残っている。

姿かたちが美しいからステージに立つのではない。
これが私だ!と自信を持ってステージに立つから、すべての人々が輝くのだ、、と今作を観て思った。

嫌味な評論家も、
批判的な町の人々も、
結婚を認めてくれなかったチャリティの父親(せっかく認めてもらえそうなシーンでも喧嘩してしまうのがバーナムらしい。決して仲良くなれないところがリアル笑)も、
バーナムは人生の糧にして
走り続けた。

楽しい走馬灯のような人生を見せてもらった。

やはり私は
ブラボー!!
と言いたい。

もしもアカデミー賞にチームワーク賞なるものがあるのならば、私からヒュー・ジャックマンを始め今作に携わった人皆に贈りたい。

ありがとう!!
素晴らしい作品を。。


最後に、、
やはりミュージカルということで歌が内容を補完しているところが大きいのだが、歌詞の意味が日本語ではない為にダイレクトに伝わってこないというのもわかりづらさに繋がっていると思った。
サントラを買って内容も含めて聴き込んだら、少しは違うような。。
ミュージカルだからそこまで深く心理描写しないことにも慣れている私は、全く違和感なく逆にきちんと描いているとさえ思ったのだけれど…。
実在の人物の話でも、誰もその通り描いているとは言ってない訳だし。余白とか想像力のなせる技、とかそれこそバーナムが好きな言葉で埋められないのかな。
でも、受け取り方は人それぞれ、個人差は仕方ないかなぁ。。(・_・;


不遇な時もミュージカルに助けら
れ、元気をもらって来た私にとって、
楽しいから笑うのではなく、
笑えない時も
笑うから気持ちが上がる、
そう言い聞かせて
カンフル剤のように観て来たものだ。

私だけでなくそんな思いを抱いて来た人にとって、
"This is Me" はやはり特別な歌であり、
"グレイテスト・ショーマン"は特別な作品なのである。


実際の親指トム将軍(チャールズ・ストレイトン)のその後の人生を知っても、今作で俳優としてのキャリアに弾みをつけたトム将軍を演じたサム・ハンフリーの力強い言葉"あなたの一番弱いところがあなたの一番強い武器になる"という言葉を聞いても、今作に眉をひそめる人々はいるのだろうか。。