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グレイテスト・ショーマンのkyonのレビュー・感想・評価

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)
4.0
どうしたって楽しんでる自分に気づく。

仕立て屋の息子として生まれたバーナムが自分の世界に対して下克上、栄光を手に入れるがやがて野心に溺れ、後に再生する物語。
もう1つの軸にフィリップとアンの立場を超えた愛の物語を。


毎回思うんだけど、
主人公やその仲間が自分の人生を転換しようとして一世一代の賭けに出て、それをはじめて観客(映画の世界の人間)に見せてくる瞬間が最高に高揚感昂ぶるんですが!!(語彙がやばい)

もちろんそこまでに心理描写を丁寧に追ったストーリーテリングはこの高揚感を最高潮のものにするんだけど、ストーリーの内容やバーナムの人間性を超えて、音楽とフリークスの存在がそういう「オカタイコト」を吹っ飛ばしてしまうね。

こういう立場が転換するカタルシスに弱い。でも逆に言えば、現代ではある程度普段起きないような制約がないと、”自由”や開放感は感じづらいのかなとも。
見せかけの自由って現代には多い気がして、そこから脱却する気分を楽しむ。


予想できるストーリーににやにやしてしまうし、バーナムの物語自体がショーだなぁなんて思ったり。


フリークスたちが魅力的。
なんだかんだ本当の悪役がいない優しい世界で、そこに”本当の芸術は人々を幸せにするものだ”ってメッセージ。

芸術に関して言えば、
本当と偽物のテーマが背後にある気がして、映画自体を俯瞰すると、バーナムが抱く野心の裏には”偽物”だと括られる人間の闘争もあると思う。そしていわゆるバーナム側の人間たちはみんなどこか”普通”の尺度からはみ出していて、本物に対して何かしら思う人たち。それはコンプレックスかもしれないし、憧れなのかもしれない。

そこに”本物”だと括られるフィリップやリンダたちが入れ込まれることで、一見本物に見えるものが偽物(見せかけ)で、偽物だと思っていたものが本物だった、(フリークスたちが居場所を手に入れる)みたいな錯綜が行われる。


見世物のショーを舞台にした映画を見世物として楽しむ観客、の構図が思い浮かぶ。

でも難しいこと考えていたってこの作品を見れば、どうしたって気分を上げられるし、私でも何かしらやったる!って一瞬の野心を得るし、音楽はどれも最高だし、衣装も好きだし(サーカスの衣装最高)、ミュージカル作品として良いなって、ヒュー・ジャックマンかっこいいなってなるし、ジャンドゥーヤ美しいなってなるし、画面観てにやにやする自分に気付いて降参した。笑
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