圧倒的なテンポの良さと、歌とダンスのクオリティ。
ロープを使った演出も良かった。
でもその影に隠れて、フリークスの皆さんの個々の特長を活かさず主人公との関係性も希薄で物語に深みがないなと思っていたら、劇中で批評家が「芸術ではない」という指摘に主人公バーナムが「楽しけりゃいいんだよ!」と返答。
何だかこちらの心を見透かされた気分に。
また、バーナムが常にショーの中心にいて、お前が一番目立ってどうすんのよと思っていたら、またしても劇中で妻が「あなたはショーと自分ばかり」なんて言って、またしても制作者の思う壺。
バーナムとフリークスたちとの心の交流が少くて不満に思ったけど、途中で出てくる歌姫のリンドともすんでのところで恋仲にならなかったりで、マジでこの人はショーが一番大事で、演者との関係性は一線をちゃんと引きたい人なんだなーと妙な納得感があった。
確かにドラマ性がないため空虚さもあるんだけど、表面に見える部分が圧倒的で、その構造自体がショービスそのものを表現しているように感じた。