実在したPTバーナムという人物を描いたミュージカル映画。
バーナムは実際70歳の黒人奴隷を160歳と偽わり12時間強制労働させたり、インディアンの風俗を踊らせ見せびらかしたり、オラウータンと魚を縫い合わせ展示したり、エンターティナーである前にあくまでも詐欺師として金儲けをしていた。
映画化するにあたって事実をフィクションに変えること自体は抵抗はないけれど、本作の場合バーナムがあまりにも、肯定的に映画のキャラとして描かれ気持ち悪さを感じた。
物語自体はテンポが良くスピーディに描かれ、このスピード感が曲のビートと相まり爽快でしたが、この映画ではミュージカルシーンはほぼ登場人物の感情をそのまま吐き出し、歌詞に乗せてるので毎回ストーリーが止まる。
ミュージカルシーンの前後で大体理解出来るし、歌う場面をまるごとカットしても映画として成り立つ。
これはミュージカル映画として致命的。
別にこのジャンルでやる必要あったのかって思えてくる。
もちろんダンスやパフォーマンスはめちゃくちゃクオリティが高いけど、他にも素晴らしいミュージカル映画は山ほどある。
それに、映画全体の起承転結がまるで個人の感情に置き換えて物語が進行してるように見えてくる。
登場人物が寂しい思いをすると、お約束事のように事態が急変したり、前向きな感情になるといつの間にか、問題が解決してたり、とにかく薄っぺらい。
サクセスストーリーなのにどういう方法でサクセスして行ったのか、肝心な所が描いてないので全くのれなかった。
