享楽

アサシン クリードの享楽のレビュー・感想・評価

アサシン クリード(2016年製作の映画)
3.4
アサシンクリード1と2の3部作及び3を経験した身としては正直物足りない(ゲームの深さに対して映画の説明は浅い)が、あくまで120分ちょいという尺度から色々と検討する。
そもそも言ってしまえば、アサシンクリードの世界観はある意味で歴史修正主義的であり、それはエデンの果実という仮想的存在を通してアダムとイブ以降の人類の歴史を塗り替えている。
今作はプロローグにおける説明が若干不足している。それはすなわち、なぜアサシン教団とテンプル騎士団がエデンの果実を巡って対立しているのかという直接的説明がなされていない。
アクション部分は面白い、というレビューは多く見られる。確かにその通りだと思った。ゲーム版アサシンクリードはザッとジャンル分けするならば歴史アクションゲームであり、アサシンのイーグルダイブやアサシンブレードを用いた密やかな殺人、華麗で俊敏な鷹のような駆け巡りは魅力的ではある。しかしそれを中心に大々的に映して、アサシン教団やテンプル騎士団の”思想”的対立を見逃してしまうのは勿体無いように思えた。つまり良く言えばアクション重点的、悪く言えば所詮は動きの面白さだけで魅力を集めようとしている商業主義的作品であった(本国である米国でコケているらしいから失敗ではないか)。
せめてものアサシン教団やテンプル騎士団の強い理念や思想を垣間見せるべきでしたが、そういったパフォーマンスも大したなく、浅い作品として享受されてしまったのは止むを得ないように思えた。
身体の動きそれ自体の描写は魅力的でリアルです。しかしアクションの強さと同様の理念や思想の強さも並行できたはずです。登場人物が印象に残らないのもそのあたりに起因している。
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