スキピオ

ネオン・デーモンのスキピオのレビュー・感想・評価

ネオン・デーモン(2016年製作の映画)
3.0
<この監督との探り合いの緊張感がわかるか否か>

みんな大好きニコラス・ウィンディング・レフン監督、「ドライヴ」でサイコー!!となり「オンリーゴッド」でむむ!?っとハテナマークが浮かんでの今作。「今回はサイコー!かハテナかどっちか…!」自分にはジリジリと探り合いの緊張感が常にあったので退屈はしなかったけど「そういう文脈込み」じゃないと厳しいかなと思う。要所、要所で美しいシーンはあるけど完成度は微妙。

まず何より田舎娘がショービズ界で立身出世した末にダークサイドに堕ちるっていうメインプロットに新鮮味がないから、そこから現実と幻想を混ぜこぜにするにしても何にしても底が見えてしまいやすいんだと思う。

エル・ファニングは個人的には「"自然な美”と"スターの素質"を持つ少女」にぴったりだったと思うし、いちいち美しくて最高だった。ただあの流れと全体のサイケな作風で「主演女優」が不自然に胸出さねぇとか「邦画か!」とツッコミたくなった(笑)

あと(多分)現実のスーパーモデルを横において大御所デザイナーが整形がどうとか、こいつらは偽りの美だとかの演説シーンに付き合わせるのは心底趣味が悪かった。ピンポイントで呼ばれた彼女らは何を思うんだろうかと同情してしまった。日常的にリアルやフェイクの様々な美に囲まれているだろうこの監督が思う、美がどうこうというのに一般人の観客はさほど興味がないというかついていけてない感じがしちゃったな。

興味がある人はひとまず前2作を観てから!まぁポスターにも書いてある「ドライヴ」ですよね。