まっつん

クラウンのまっつんのレビュー・感想・評価

クラウン(2014年製作の映画)
3.5
「スパイダーマン ホームカミング」のジョンワッツ監督のデビュー作。フェイク予告で勝手にイーライロスの名前を使ったところイーライロス本人から電話が。怒られるかなと思いきや、「俺が製作やるから映画化せんか?」と持ちかけられたというぶっ飛んでいながら、イーライロスのナイスガイすぎる計らいにより映画化された本作。

まず本作の最大の特徴は最近の映画では考えられないほど子供がバンバン死ぬ点ですね。ほんとにこんだけ子供が平気で死ぬ映画は珍しいし、それぞれ死に至るまでの不条理さ、または因果応報感なども非常にシビアです。でもよく考えるとジョンワッツ監督の映画は子供が危ない目にあう映画ばっかりです。「コップカー」では子供たちがガチで怖い目にあって成長するジュブナイルものでしたし、「スパイダーマン ホームカミング」だって同じ様なテーマがあると思います。だから「子供が危ない目にあう」というのはジョンワッツ監督の根幹にある作家性なんですね。

そして本作を一言で言うと「人ん家のもんは勝手に使うな」でしょうか笑。誕生日ピエロが手違いで来れなくなったので、不動産屋さんのケントは売りに出す家にあったピエロの衣装を勝手に身に付けます。そして誕生日を大いに盛り上げ作戦成功!疲れて寝てしまいます。そして朝起きたらメイクも衣装も外れなくなっていたと。

んで何とか力づくで衣装を剥ぎ取ろうとするのですがここがいちいち痛そうでナイス。服を袖から切ろうとするとことか「手首切るよー汗」とか思ってめっちゃヒヤヒヤしましたし、鼻を取るとことかまぁ痛い泣。あとはケントのゲロとか血がピエロ化が進むにつれレインボーになっていくとことかも実に気が利いています。

結局ケントが身につけたのは「悪魔の皮膚と髪」あり、ピエロは昔子供を食べる悪魔であった!ということが判明。ケントはどんどん自我を失っていき、「コドモタベタイ.....タベチャダメダ....」と悪魔と自分の間でせめぎあいます。

そしてこの映画の残念なとこなんですけど、最終的にケントはピエロを通り越してただの怪物になってしまうんですね。僕はティムカリー版「It」を幼いときに見て以来ピエロはとても怖いんですが、今作は純粋にピエロで怖がらせてくれないのが難点です。最後の怪物とか何なん?ってことです。ピエロで結構。充分怖い。