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パプーシャの黒い瞳のmhのネタバレレビュー・内容・結末

パプーシャの黒い瞳(2013年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ポーランド映画界のポテンシャルの高さを思わせる、美しいモノクロ映像で送る、ジプシー初の女性詩人についての映画。
・ポーランド近代史。
・ジプシーの文化やその考え方。
・マイノリティの受難。
このあたりも意図的に交えてあって見応え十分。
時代がシャッフルされてるのでポーランドの歴史が頭に入ってないと多少晦渋ではあるけど、わかりにくいほどではなかった。
近代化、画一化の影で、悲鳴を上げていたマイノリティーたちの断末魔がすごかった。
ナチスドイツによるホロコーストの嵐が去ったあと、人民が平等であるはずの共産党政権下で働かないジプシーはもってのほかとなるのが笑えないジョークみたいな状況。
教育が低いということがどういうことか、これを見れば一目瞭然になっていた。
読み書きができても、呪術的な因習から解放されることのない主人公。そのアンバランスさが詩を生み出すと同時に、ストレッサーにもなっていた。本来無関係であるはずのAとBを関連付けてしまうのが教育の低さであり、それが心の弱さにつながっている。
カミーユ・クローデルと同じ癲狂院ラストが物悲しい。
いつも曇っている空とか、雨の多い気候とか、戦後しばらく立っても瓦礫の多いワルシャワの街とかも良かったなぁ。
「アイーダ」「異端の鳥」みたく、美しすぎるモノクロ映像を売りにした映画がポーランドあたりで流行ってるのかね?
エミールクストリッツァとかトニー・ガトリフとはまた違ったジプシーの描き方でそういうところも楽しめた。
面白かった!
mh

mh