ウスバカゲソウ

トリプル9 裏切りのコードのウスバカゲソウのレビュー・感想・評価

トリプル9 裏切りのコード(2015年製作の映画)
3.5
再見。
ジョン・ヒルコートによる過激だが冷たい空気の警察内幕物。
平板で盛り上がりに欠ける作品だが、好事家にはたまらない。
予告のカッコよさは満点なので必見。
サイプレイス・ヒルのPigs(リミックスはあのアッティカス・ロス!)がダークで良い。

元兵士と悪徳刑事によるシステマティックな強盗場面。
リアルに比重を置いた銃撃戦。
プロたちの仕事ぶりは無駄がなくストレスレスで見れる。
『トレーニング・デイ』ダイジェスト的なストリートの洗礼もタイトに。
予告では主人公の地獄めぐり的な内容を想像したがそれは外れた。
意外に最初からタフなケーシー・アフレック。
街の撮り方やロケーションもいかしている。
美しく光る冷たいネオン、ナトリウム灯。
警官にぶちまけられる蛍光色のペンキ。
毒々しいマイケル・マン。
終盤の謎施設とか最高。
引き締まった画作りと豪華すぎるキャストのアンサンブルで地味目な作品を引っ張っている。
ウディ・ハレルソンは美味しい役を流石の余裕で見せる。
クリフトン・コリンズ・Jrが悪い色気を放っていて良かった。
ノーマン・リーダスの扱いはもうお約束。

大筋に目新しさはない。
フラットで地味、エンタメ性は低い。
善悪の境界は曖昧で明快なラストではない。
苦い後味。
それでもここでしか見れない画があれば、定期的に見返すだろう。