辛ラ主義者

日本暴行暗黒史 異常者の血の辛ラ主義者のレビュー・感想・評価

2.6
 江戸から現代へ、エピソードを連ねながらひとつのテーマを描こうというのは、石井輝男が東映でやっていたような作風である。しかしそのテーマ、つまり「異常者の血」、「呪われた血筋」というえらく壮大かつ文学的なテーマに対して、エピソードがショボすぎる。江戸・明治のエピソードはまだしも、大正のやつなんか別に異常でもなんでもない。
 画面の力も現代に近づくにつれて下がる。江戸篇は犯された女が川を(中洲も越えながら)ひたすら小走りで逃げていくワンショットという、かなり奇異な演出があって、しかも女が途中でコテっと転んだりする。で、次の女が犯されているときに、突然さきほどの女が水辺で倒れて死んでいるショットが挿入される。何考えてこうなったのかわからないけど、面白い。あと、低予算だろうにわりと屋敷などの装置がしっかりしている。

 山谷初男が出ていて嬉しかった。