【刹那の豹変】
カリコレで久しぶりにあたりをひいた感動。これはひとしお。
まあ、スタンフォードの監獄実験をテーマにしてる時点で大体成功してるようなものなのだが。
同じテーマには『es』や『エクスペリメント』という作品があるが、今作はそれに比べてかなり現実感ある仕上がり。
囚人と看守役とに分かれて人の思考や行動がどう変わるのかという歴史的実験をした話。
2週間の予定が、危険すぎてわずか数日で強制終了したというのだから人間の根底に流れる本質がいかに怖いものかわかる。
本作でこの実験に参加したのは大学生の男子で日給15ドル。
最初はみんな囚人を希望していたため、教授がコインの裏表で看守役と囚人役をふりわけた。
面接もしてて、最初は適性もあって平等でらみんな凶暴じゃないわけだ。
しかし、1日目から看守側の圧政が始まり、日を経つごとにそれがエスカレートしていく。
最初は実験だと自分たちに言い聞かせているのに、いつのまにか本当の刑務所と化してしまう。
『es』のような後半のエンタメ生を切り落としてるから、なおリアルで怖い。
全部レビューしちゃいそうになるので、看守側が囚人に何をやらせたのか、看守がどう豹変していくのかそのあたりはご自分の目でお確かめを。
『暴力脱獄』の名前がでてきて真似しようとしたり、マックイーンと呼ばれるようになる看守役の演技は必見。
自分が看守と囚人やるとしたらどっちをやるか?
囚人はぜったい嫌だから看守かな…
刑務所の中では個がなくなり、自分が己の中に閉じ込められ消えていく感覚がするという。
あれだけ番号で呼ばれるようになればそうなるよな。
2017.2.20