オダヤカ

MERU/メルーのオダヤカのレビュー・感想・評価

MERU/メルー(2014年製作の映画)
5.0
クライマー3人組がヒマラヤ山脈メルー中央峰にそびえる難攻不落の岩壁“シャークスフィン”に挑むドキュメンタリー。
前半はそれぞれのクライマーがいかにプロフェッショナルであり数々の偉業を生き抜いてきたかを取材しいよいよシャークスフィンに迫るが挑戦は失敗に終わる。

再挑戦に向けて準備するさなか様々な事件が起こる。
亡くなった友への想い、牙を剥く自然や仲間への葛藤、壊れてしまった身体…
プロフェッショナルの証である合理さが後半につれて壊れていき狂気的な衝動に突き動かされていく…

僕はこのドキュメンタリーをみて安易に共感できるとは言えない。
それほど尋常ではない領域の話だ。
だがクライミングのプロフェッショナルであり合理性の塊である彼らを狂気的な衝動へ突き動かしていったものが人の持つ”想いの力の強さ”でしかなかったことに心が熱くなった。

亡くなった友への想い、壊れた仲間への想い、そしてなぜ登るのかという問いに対し「自分の体で行ってみないとわからないものがあるからだ」というクライミングに対する初期衝動。

尋常でない白銀の地獄で、想いの強さと完璧ではないゆえに美しい人間の在り方を見せつけられた、そんなドキュメンタリーだ。
オダヤカ

オダヤカ