次郎

MERU/メルーの次郎のレビュー・感想・評価

MERU/メルー(2014年製作の映画)
3.8
高度6000mで垂直の絶壁をよじ昇りそこにテントを張るそれはもう登山というより極限アイスクライミング。21世紀にもなって未だ難攻不落、ヒマラヤ・メルー峰のシャークスフィン完登を目指す3人。本作はそのうちの一人であるジミー・チン自身が監督として、その工程を2台のカメラで撮影したドキュメンタリー。

ベストオブザ極限とでも言うべき状況の中で撮影し続けたその胆力にも驚愕だが、諦めない彼らの不屈の意思が何より突き刺さる。印象に残ったのは、彼らは本当に危険なチャレンジをするからこそ、徹底的にリスクマネジメントに自覚的だということ。彼らにとって失敗とは登頂できないことではない、あと一歩進んだら帰れなくなる地点を見極め、生きて下山する事なのだ。それは決してして無茶無謀ではない、理性の限界境界線を教えてくれる。

そして、映し出される映像の数々は時に驚く程に危険で、時に残酷なほどに美しい。これは映画館で観たかったと思わせてくれる、驚愕の内容だった。
次郎

次郎