みりお

マギーのみりおのレビュー・感想・評価

マギー(2015年製作の映画)
3.9
素晴らしいの一言。
もはやこれはゾンビ映画ではなくて、一つの立派なヒューマンドラマです。

ヒタヒタと確実に近づいてくるリミット。
終わりは必ず来るけれど、その時ギリギリまで愛する人を守りたい。
愛する人が苦痛に塗れないまま終わらせたい。
ひたすらに家族を思いやる親子の、温かな作品でした。

もちろん観ていて本当に辛い。
辛くて辛くて、心がギリギリと絞られているよう。
家族のリミットが近いと痛感する父ももちろん辛いし、ただベッドの上で死んでいくのではなく、もしかしたら家族を襲うかもしれないという恐怖に押し潰されそうになりながら歩んでいくカウントダウンは、マギーにとってどれほど辛いものだろう。
身体は思うようにならない。
こころも蝕まれていく。
だけど、あなたと家族でいたい。
家族のまま、最期を迎えたい。

そんな葛藤に苛まれる親子が迎えるラストは圧巻。
マギーの主治医が与えた3つの非情な選択肢は、どれを取っても辛すぎると思っていたけれど、愛ゆえに取った最後の選択肢は素晴らしい。

…なんでこんなに評価低いんだろう?
ゾンビ映画として観始めるから、期待外れなのかな?
ゾンビものとしてではなく、非常事態に追い込まれてこそ毅然と結ばれる家族の絆を感じる作品として、一人でも多くの人に観てもらいたい作品です。


【ストーリー】

近未来のアメリカ。
都市はゾンビウィルスによって崩壊し、政府は感染者の隔離政策に余念がない。
そんな中、農村部で暮らすウェイド(アーノルド・シュワルツェネッガー)の娘マギー(アビゲイル・ブレスリン)もゾンビに腕を噛まれてしまう。
本来ならばすぐに隔離所に収容され、薬を投与され、信じられないような苦痛を味わいながら最期を待たなければならない。
しかしウェイドはどうにか知り合いの医師の許しをもらい、ゾンビウィルスが発症するまでの2週間あまり、マギーに自宅で最後のひとときを過ごさせることに。
少しずつ朽ち果てていく娘。胸に去来する昔の思い出。どうすることもできない無力感。タイムリミットが迫る中、父親としてできる最後の愛情とは何か。父娘の試練の時が訪れようとしていた……。


【キャスト・スタッフ】

*監督:ヘンリー・ホブソン

CM業界出身の方で、『ウォーキング・デッド』のディレクターとして有名な型のようです。
本作が監督デビュー作。そしてその後監督作はなし。
こういう丁寧に心情を描く監督さんにもっとたくさんの作品を作らせてあげてほしいなぁ〜
まぁ本作も、脚本に惚れ抜いたシュワちゃんがプロデューサーを買って出て、それによって映画化が実現した作品らしいので、やはりそういう幸運に恵まれないとなかなか作品が世に出てこないのでしょう😢


*ウェイド:アーノルド・シュワルツェネッガー

"シュワちゃん主演のゾンビ映画"っていうのも、誤解を呼ぶ原因だよね💦笑
絶対白のタンクトップでドンパチやると思って観始めたもん🤣
どうしてもコメディやアクションの印象が強い彼ですが、本作の脚本に惚れ抜いたあたり、やはり最高のセンスを持ったハリウッドスターだなと思います✨✨


*マギー:アビゲイル・ブレスリン

まーたこの子が素晴らしいんだわ✨
繊細で脆い少女の感情を、時には静かに時には激しく伝えてくる。
素晴らしすぎるやろと思ったら、『私の中のあなた』妹を演じていた天才子役でした✨あとは『リトル・ミス・サンシャイン』の演技も素晴らしいらしい。
あとびっくりしたのは、シャマランの名作『サイン』でメル・ギブソンの幼い娘を演じていたのがアビゲイルだとのこと😳
天才は幼い頃から違うんだな✨✨
みりお

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