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ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男のmiiのレビュー・感想・評価

3.8
「リンカーン」を観た後で
南北戦争に関連する 大好きなマシュー・マコノヒーの作品を鑑賞。
こちらは アメリカ南部が舞台の貧しい農民目線の正義の物語。

黒人奴隷を抱える農場主は兵役を免除されるとは
まるで 彼らの権利を守るために死に行くような戦争であるわけです。
家を守る女たちは 強制的に衣類も食料も徴収される。

ニュートン·ナイト(マシュー・マコノヒー)は亡くなった甥を故郷に連れ帰るために脱走兵となるが
そのような事をした者は縛り首となるために 身を隠さなければならない。

首に鉄の枷を付けている奴隷のモーゼス(マハーシャラ・アリ)らに助けられ
次第に脱走兵達が増えて 共に徒党を組み
搾取し続ける農場主から 生きる糧を守るために反乱を起こします。

自由と平等を求めて 同時期にリンカーンが求めた思想の如く
歴史に埋もれた人物が居た事。

85年後経っても···
ニュートン(彼は黒人女性レイチェルと結婚)の曾孫デイビス·ニュートンが白人女性との婚姻が違法だと裁かれているのです。

ニュートン·ナイトの闘いと共に
奴隷解放宣言が出されても
長い歳月が経っても 不平等が根強く残るアメリカ南部の差別を描いた作品でもあります。

モーゼスの死や KKKに為す術もない無力さに打ちひしがれる場面もあるものの
ひとり脱走してから徐々に仲間が増えていき
女性や子供 立場の弱い者でも 集合体となる事で大きな力となり
今の現状を変えたいという死も厭わない姿は見応えがありました。

家を燃やされても 前に進もうと再建するニュートンと
無実を主張するデイビスが重なるラスト。
対照的に 涙を流す事しか出来なかった奴隷たちの長い哀しみを歌ったエンドロールが
より一層 余韻に残るものでした。
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