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海難1890の小のレビュー・感想・評価

海難1890(2015年製作の映画)
2.5
なんだ、この違和感、この居心地の悪さ。いやね、たまにはいい話を観て、泣いて、浄化されたいと思うわけですよ。確かに100%いい話だし、事前にネットでエピソード調べて、読んで、もう、うるっときてるわけですよ。

でも、話が進むにつれ涙腺がきつくなってくるのは何故? 思うに善いこと、綺麗なことばかり見せつけられ、なんか冷めちゃったのかも。事実に基づいているとはいえ、真実を描いてないだろ、と。人間ってこうじゃないだろ、と。

人には悪があるから善が引き立つ。影があるから光に価値がある。人を助けるにしても、自分を優先したい気持ちが先に立つ。だからこそ人を助けることは尊い。この映画は影を描いてはいるものの、光が圧倒的で、眩しさに目がくらみ、僅かな涙は目が痛いから、みたいな。

日本とトルコの共同制作という事情なのか、PR映像のような印象で、涙腺を刺激するはずの人間の真実が伝わってこない。さも当たり前に、あっさりと善いことをする人達はどこか遠い国の人みたいだ。いつも笑っている人の笑顔と、普段は苦虫を噛み潰した顔の、頑固オヤジの破顔一笑、どちらを観たいですか、ということかと。

と、好き勝手な妄言を並べてしまったけど、もちろん、この映画の基となっている事実の価値が変わるわけではない。同じ題材でドキュメンタリーが出来たら観たい。
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