シノ

海難1890のシノのレビュー・感想・評価

海難1890(2015年製作の映画)
3.3
 和歌山に生まれ育ったわたしとしては、小学校(もしかしたら中学校も)で誰もが教わるこの物語を県外の人にも知ってもらえることが大変うれしい。県知事の仁坂氏や安倍首相までも資金集めをして、映画の最後にトルコの首相からの祝辞があるなど見えないところには政治色が強めだ。
 エルトゥールル号の件に関するシーンはよかったのだが、イランの場面は物足りなかった。空港でのスピーチの中に「エルトゥール号のお返し」の意の言葉を入れて欲しかった。それは実際の出来事とは違うかもしれないけれど、そうすることで、串本のシーンとテヘランのシーンがつながりのある物語として受け入れやすくなるのではないかと思う。
 いつも行く映画館に、映画の中で実際に使われたエルトゥール号の模型が展示してあるのだが、5メートルほどしかなくて、それを迫力ある映像に仕上げる技術がすごいと感じた。
 串本のシーンで村民が話す言葉であるが、確かに関西弁だが和歌山弁ではない。「正統の関西弁」である。串本は和歌山の中でもかなり南にあり、見てのとおり海の近くであるので、正直言って言葉は綺麗とは言えない浜言葉で、かなりなまっている。映画の中で串本の言葉を使ってしまえばイントネーションや知らない方言の単語に気を取られてストーリーが頭に入ってこなかっただろうから結果的にはあのくらいの関西弁でよかったのかなと思う。「正統の関西弁」の中に時折、和歌山弁特有の単語が混ざっているのがいささか可笑しかった。
 現在でもトルコに行ったとき、日本から来ましたというと優しくしてもらえるらしい。因みに、和歌山から来ましたというともっと優しくしてもらえるらしい。