SatoshiFujiwara

ディアーディアーのSatoshiFujiwaraのレビュー・感想・評価

ディアーディアー(2015年製作の映画)
3.7
タイトルとかキャッチコピーからしてずっと軽いノリのコメディかと思っていたら、まあ軽いは軽いが割にいたたまれない話じゃないの。中上健次的な血縁っつーか「路地」感をうんと飲みやすくした感、だがそれでも重い。地方の閉塞感やら内面的鬱屈は俺はよく分からんがこんな感じなのかね。

うだつの上がらん少し精神を病んだ次男の義夫が長男の冨士夫によって「コンサルティング会社を経営してる」とか吹聴されてたり、冨士夫はその幼馴染みの友人である生臭坊主に半ば騙されてお茶を買わされたり、はたまたその生臭坊主のやさぐれた息子は親父が家に隠している現金のことを冨士夫に話して「やっちゃいますか」とパクリをけしかけたり、顕子と高校時代の友達との間に存在する表面的な繋がり(その実、男を巡る根深い確執がある)やら。つまり「騙す」「盗む」「嫌う」「妬む」というモチーフが度々登場するからには、冒頭の独立したエピソードにおける鹿の話も冨士夫、義夫と顕子の三兄弟が仕掛けた詐欺まがいの話か、と思わせて実は違うというオチ。鹿のエピソードがストーリー展開上の動機として強度があるのかという疑念はあれど、役者のキャラクターやロケーションの魅力(昔通っていた高校の教室で夜中に同級生だった元彼元カノ同士が落ち合って…なんてベタで最高じゃないすか)で作品としての求心力は落ちず(求心力って作風でもないけれど)。んで、中村ゆり最高(顔も良いけど頸のラインが実に美しい)あれはよろめくよ。
SatoshiFujiwara

SatoshiFujiwara