みおこし

ブルックリンのみおこしのレビュー・感想・評価

ブルックリン(2015年製作の映画)
3.8
映画館で見逃し続けた作品、ようやく鑑賞。いやーーーこれは響きました!!あまり主役の彼女と歳が変わらないので、去年社会人デビューしたあの頃を思い出してものすごく感情移入してしまいました。新卒社員、2年目社員の皆様にオススメです。(笑)

アイルランドに暮らす引っ込み思案な女の子、エイリシュ。姉の知人の紹介で、憧れのアメリカ・ブルックリンに引っ越して働き始めることになる。生まれ育った静かで閉鎖的な空間とは対照的に、大都会に揉まれて少しずつ大人の女性へと成長してゆく...。

自立がテーマの作品って結局のところ故郷賛歌になってしまいがちですが、本作は決してそんなことはなくて。もちろん故郷への愛や懐かしさも教えてくれるけれど、同じくらい私たちに「あなたがいる場所全てが故郷になり得る」という大切なことを教えてくれました。新天地に移ると、昔は良かった...とすぐ懐古してしまうけれど、一度波を越えればどんな過酷な環境にも愛着が待てるようになって、またそこが自分にとって大切な場所になる。ブルックリンの中心で、疎外感を感じていたエイリシュが、どんどん自分のフィールドへと昇華させてゆく姿に、ものすごく鼓舞された気がします。

しかも時代設定が1950年代ということで、お金があまりかからないけど時間はかかる船での大変な移動だったり、メールも無いから大好きな人たちに手紙を送ってそれを待つしかなかったり、緊急の知らせが入ってくるのもそのぶん遅かったり...。留学中だろうが単身赴任中だろうが、ラインやメールで簡単に意思疎通が図れる今の私たちにとっては想像を絶する世界です。
広い世界に出たくてたまらなかったから外に出たけれど、やっぱり古巣はどこよりも暖かい。故郷に戻ろうと思えば戻れるし、その方がよっぽど楽なんだけどそれじゃあ自分が負けたような気もするし...。
どれだけの葛藤や孤独感を抱えながらエイリシュが仕事に恋に頑張ったかを思うと、ラストシーンは胸が熱くなりました。ここ最近観た作品の中で、最も何かを訴えかけてくる印象的なラストシーンでした。

シアーシャ・ローナンは本当に美しい女優さんですね。一個下なので、それこそ『つぐない』を私が中3の時に観た時、まだ彼女は14歳だったから子役のイメージが強かったけれど、いまこうやって銀幕の向こうでもう大人の女性として活躍している姿を見ると、「...この方、私より年上なんじゃ?」と思うくらい大人っぽい(笑)。オープニングとエンディングで、表情が全く違いました。
ドーナル・グリーソンも出番少なかったけど寡黙で素敵だったし、トニー役の人もひたむきでかっこよかった...。若い役者さんたちの魅力が光る一本でした。
話題になっていたレトロかつパステルカラーで散りばめられた衣装も心洗われる美しさ。

...本作を観たら昔のことが蘇ってきて、すごく切ない気持ちになったけれど、今の場所で今日も頑張ろうと思わせてくれました。仕事がんばろ!!(笑)
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