あっきー

ブルックリンのあっきーのレビュー・感想・評価

ブルックリン(2015年製作の映画)
4.5
今年の1月に2回目のNY旅行で、初めてブルックリンを訪れた。シティと川を挟んですぐ隣なのに、そのには純情な人々の感性と、これまでの歴史が息づいていた。

悲しみと希望を胸にアイルランドからアメリカ・ニョーヨークへと渡った主人公エイリッシュの、新生活の輝きと苦労を優しい目線で綴った本作。アメリカで今尚問題となっている移民を題材にしているが、声高に社会的メッセージを打ち出す映画ではない。あくまでも主人公エイリッシュのパーソナルなエピソードにフューチャーしながら、ただその周りにはいろんな歴史的・社会的背景がベースになっている。

アイルランドを象徴するグリーンが、主人公のアイデンティティと故郷への尽きぬ思いを表し、それが少しずつ変化していくなど、色を使った画面構成とその意味づけがさりげなく印象に残ってうまい。当時のアイルランドとブルックリンの情景も忠実かつ魅力的に再現されていて、鑑賞していて気持ちいいくらいに映像も音楽もセンスが良かった。

きっと人によって見方は変わるけれども、単純に楽しむことも、深読みしていろんな意味を考えることもできる、映画としてまさに名作でした。
あっきー

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