わたがし

ピンクとグレーのわたがしのレビュー・感想・評価

ピンクとグレー(2016年製作の映画)
5.0
 久しぶりに観た後に数時間に渡って放心したし、心地の良い虚無ティックでモヤモヤが晴れない後味をビールを散々飲んだ今でも引きずってる。
 とにかく何を言ってもネタバレなような気がするので詳しいことは何も言えなくて、とにかく邦画をちょっとでもナメてるような人は是非劇場で観てほしいという気持ち。「メジャー邦画の割には…」という甘めの評価で絶賛しているわけではなく、本当に1本の映画としてあまりに面白くて、あまりに芸術的で、あまりに露悪的でナンセンスで下劣で痛快。遂に邦画もこの領域にまで足を踏み入れてしまったのかという感じ。
 よくこんな規模で製作できたな…というぐらいにあらゆる業界に唾を吐いたような後半からの展開にドン引き、菅田将暉の正気とは思えないほど迫力に満ちた圧巻すぎる演技(ほんとこれだけでも5万円の価値はある)に驚き、夏帆のとんでもなく繊細でありながらもとんでもなく大胆なエロさにため息をつき、クライマックスは自分の死生観を激しく揺さぶられる。
 画面が始終なんかサラサラしていたり、音楽が妙にダラダラしていたり、もちろんそういうあまり好きじゃないところもたくさんあるのだけれど、そんなこと全てどうでもよくなるぐらい映画としての圧倒的強度、チンピラ感、前衛感に完全にやられた。
 そしてこれもまたとんでもない映倫挑発映画で、ありとあらゆる不健全でどうしようもない描写を徹底的に描きながらも、ちゃんとR指定にならないようにいやらしく計算しながら撮っている感じ。そしてそれがまた映画そのものの世界観にピッタリとハマっていて、本当になんて品のない映画なんだと笑いが止まらなくなる。
 去年の『進撃の巨人』『バクマン。』『ヒロイン失格』で猛烈な勢いでメジャー邦画が進化を遂げているのを実感したけれど、本作もその延長線上の作品として全く期待を裏切らない圧倒的完成度で「観て損はない」レベルではなくて本当に「みんなに観てほしい」と思わず言わずにはいられない。
 ジャニタレ主演映画史としてもなかなかに画期的で、こんなにもカッコ悪くてめちゃくちゃ煙草吸ってて横暴でガキっぽい役をジャニタレが熱演している状況に胸が熱くなる。去年の『グラスホッパー』と言いジャニタレの演じる役が年々どんどん過激になっていて、たぶんその流れのひとつの到達点が今年公開予定の『ヒメアノ~ル』になるのだと思う。そしてその後、ジャニタレは果たしてどこに向かうのか。むちゃくちゃ気になる。
 メジャー邦画とジャニタレの進化と真価、是非みんな劇場で体験してドン引きして欲しい。心からそう思う。