ATSUSHI

ピンクとグレーのATSUSHIのレビュー・感想・評価

ピンクとグレー(2016年製作の映画)
3.7
敗北者としての葛藤。
"開始62分後の衝撃"を知りたくて劇場へ。
前半は蓮吾(中島裕翔)と大貴(菅田将暉)とサリー(夏帆)のいわゆる「青春モノ」としても、十分成り立つくらい面白い。(めちゃめちゃベタだけど)モテる蓮吾とモテない大貴。見た目からするカリスマ性やオーラから、この二人は全く別のタイプの人間。スカウトされる時期も全く同じなのに、ある一件からどんどん蓮吾だけが売れていく。それを見て焦る大貴。俺だって…!と張り切るも本番だと上手くいかない。私的なことだが、タイプが完全に大貴なので凄まじく感情移入してしまった。それはもちろん、菅田将暉の演技も相まって、大貴独特の魅力に惹き付けられた。負けず嫌いだからこそ競わない、なんてのも自分とそっくりだし、ましてや友達が成功して遠い存在になっていくことを心の底からおめでとうなんて絶対言いたくない!なんて所も、まるで自分を見ているようだった。
敗北者としての葛藤が、細かく写し出されていて、心が痛いくらい伝わってきた。

そして、肝心な"開始62分後の衝撃"。確かに、これはすごい!あの「何か」が一変したって空気。衝撃が起こった5分間はストーリーに着いていくのにやっとの思い。これは整理しつつ、落ち着いて考えれば絶対に訳分からなくなることはない。じわじわと「あ~そういうことか…」と咀嚼しながら楽しむ衝撃。でも、何が伏線なのか良く分からず、狙ったことだとしたら少し弱い。この騙し方が嫌いな人も結構いるかも。

ここからは衝撃後、つまりは後半の部分。
正直な感想としては長いし、飽きる。単純に面白さや友情物語としては前半に劣る。やはり、ラストに驚きを持ってくる作品ではないから、ある程度は予想してたけど、ダラダラ展開に変わった瞬間に今まで高まっていた熱が一気に逃げた。手短に終わらせないと驚きは長続きしないし、前半と比べるとメリハリが足りず、結局どの部分も中途半端に終わった印象。一番の後半の不満点はネタバレにて。

比較的、色使いと内容が綺麗な前半から、まさしくグレーな後半へ、と様変わりする部分は大いに楽しめた。ラストではなく、中盤に種明かしを持ってきた挑戦的な手法は誉めるべき点と感じる。
ピンクとグレー。きっとこれは彼らのことだ。