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ゴースト・イン・ザ・シェルのmatchypotterのレビュー・感想・評価

3.3
攻殻機動隊からの『ゴースト•イン•ザ•シェル』。

観るの2回目だけど、前回の教訓を忘れてた。
「攻殻機動隊を観ておけば良かった」。
ホント、そう思う。

かなり有名な伝説的な日本のアニメ原作。
『AKIRA』とか、いわゆるサイバーパンク的な世界観。
この手の近未来を描くことにおいてはなかなかジャパニーズアニメーションはスゴい。

近未来的であり、荒廃しているとも言える世界。

決して、全市民がテクノロジーの恩恵を享受しているとは言い難く、ある一族や、貧困の差により、より上下関係や格差社会を生みやすい世界。

そんなプロパガンダ的な世界観を表現し、そこから芽生える新たな希望、特に底辺からの息吹が特徴的。

『star wars』とかもある意味それ。

この作品は、人類の延長として人と機械が融合した生命体が現れた社会において、その生命体は何を目的として、何に対して、何を守り、何と戦うのか、というかなり深いテーマを描く。

人であり、機械でもある。
そして、その存在は人が作り、人が人ではできないことにあてがうために生まれる。
しかし、本来の中身は人であり、人のようにいきたいとも願う者もいれば、人とは違うものだとして人に敵意を抱くものいる。

果たして、これは進化なのか、人の暮らしを豊かにしているのか、そして、彼ら彼女らは何を思うのか、と。

SFとは、本来、まだ観ぬ未来に希望を抱いたり、警笛を鳴らすようなジャンルとするならば、この作品はそこをしっかり描こうとしていると思える。

原作読んでないけど、この2時間みたいな映画でこれだからかなり深いテーマをえぐってるんだと思う。

なので、どうしてもその全てをこの映画1本で壮大なテーマと伝えたいことを描けるか、というとなかなか難しいんだと思う。

前段や、だから何だ、これからどうするんだ、お前ら誰だ、っていう点がどうしても説明し尽くせてない。

とは言え、それを説明し出したら映画1本では無理。そんなジレンマが見え隠れしていた気がする。

そして、北野武。
初めて観た時はホントに何言ってるかまったく聞き取れなかったが、今回はちゃんと聞き取ろうと身構えたから聞き取れた。

そしたら、彼、なかなか良い奴なんだな。
終始仏頂面で淡々と指示を飛ばすから裏があるのかと思いきや、少なくともこの作品の中では、人と機械の間の存在をわかりながら、それなりに尊重していた。

と、そんなこんなで、またしても攻殻機動隊を観ておけば良かった、という後悔に苛まれる結果に終わる。

ただ、この映画、そのサイバーパンク的な世界観をとことんぶっ飛ばして描き切っているのは良いと思う。

理解できるように適度に、ではなく、理解するかどうかではなく、その先を追求してる感じ。

映像美も含めて、スカヨハの美しさも含めて、かなり自分たちで追い込んだんだろうな、というのはとてもよくわかった。
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