トルーパーcom

ゴースト・イン・ザ・シェルのトルーパーcomのレビュー・感想・評価

2.5
日本の漫画/アニメ『攻殻機動隊』をスカーレット・ヨハンソン主演で実写映画化。

原作をあまりくわしく知らないのでキャラクターやストーリーに対する思い入れ補正や、逆に失望したりとかはないです。
単純に、近未来の日本的な世界を舞台にしたSF映画として観賞した感想↓

【1】世界観
サイバーパンク的な電脳化された近未来世界の日本?が舞台。
『ブレードランナー』を思わせる(というかまんま)都市の光景はなかなかよかった。
特に遠景からみたカットは最高で、この系統の世界観好きな人は満足できると思う。

原作では、第4次世界大戦の核攻撃により東京は壊滅して、兵庫県の沖合にある埋立地っていう設定らしい。
隅田川沿い的な景色にお台場のような立地があって、新宿と香港を混ぜたような感じだった。
芸者系の巨大立体看板とかもろブレランだけど、
道路標識が日本的だったり、
JKが歩いてたり、
アディダスなどの企業ロゴもあったりと、現代と地続きの近未来っていうつくり。

ビルや店頭に浮かび上がる日本語のバーチャル看板がワードアートで1分で作ったみたいなチープな文字なのがちょっと残念、
あと、走ってる車とか割とCG感強かった。
でもまあ世界観はいい感じに映像化できてたと思う。

最序盤の芸者ロボがらみのシーンは最高。
都市の景色/緊迫の展開/主人公の能力を有無を言わさず映像で紹介する素晴らしい演出。

メイキング映像のワイヤーアクション撮影風景は必見。スカヨハってほんとプロの女優だなって尊敬できる。


【2】映像/音響
■映像
ブルーレイで観たけれど、画角は16:9だった。
たしかIMAXで公開されてたと思うので、劇場公開時は比率違ったのではないか。
アニメ原作だから、TVにぴったり合うようにしたのかな?
アニメっぽい印象になってよかった。シネスコサイズみたいな横長だったらだいぶ印象違ったと思う。
ちなみに吹替版はアニメの声優で揃えたらしい。

■音響
円盤はなんとDolbyATMOS音源だった。
最近ATMOS対応のサウンドバー買ったものの、対応ソフトがまだまだ少ないので驚きつつ歓喜。
部屋ごと震える重低音最高。


【3】アクション
アクションシーンはスローモーションを多用していたので「決め」の絵が画面にビシッと決まることが多くて漫画的だった。
個人的好みでいうと流れるようなアクションのほうがスカヨハの魅力は出ると思うんだけれど、
漫画/セル画時代のアニメの実写化っていう点でいうとなかなかいい演出だったような気がする。

水辺のシーンは原作の名シーンらしい。確かによかった。



<以下、ネタバレあり感想>



【4】キャラクター
■ミラ少佐(草薙素子)
公開時「原作で日本人のキャラクターを白人が演じるとは!」ってホワイトウォッシュだとかなんとか叩かれてたけど、個人的には別に違和感なかった。

「脳だけ人間であとは機械になっても人間と言えるのか?人間が人間であるとは?個とは?自己とは?」
っていうことがテーマだと思うんだけれど、
「脳以外ぜんぶ入れ替わってしまって、顔がスカヨハになっても日本人の素子なのか?」
って考えることができるので、テーマ性を強めつつうまいことハリウッド映画に変換できているからグッジョブだと思う。

■荒巻課長
たけし最高だった。終盤においしいシーン2箇所あってテンション上がった。
SFなのにあそこだけアウトレイジ。
一瞬で映画を支配する世界のキタノ流石ですわ。

■バトー
彼の目が義体化される流れ、いい演出。
原作だと最初からあの眼だったような気がするんだけど、これはいい改変。

■その他
母性ある女科学者と、芸者ロボの福島リラはいい演技だったけど、それ以外が存在感希薄。
ファイナルファンタジーのキャラみたいなクゼも、黒幕も微妙だった。
悪役のキャラが弱いと映画のパワーは大きく減退する。


【5】減点ポイント
映像的に見どころはあるけれど、全体としては気になる減点ポイントが多かった作品。

■ラスト
ラストの虫みたいな敵戦車との対決シーンが微妙。音だけはすごかったけど。
中に人乗ってないから何と戦ってるのか感情入らないし、
銃で立ち向かうってwwwだし
最後素手で引きちぎるのかよwwwだし
引きちぎるときのスカヨハの体勢www

まあまあかなと思って観てきたけど、最後でけっこう気持ちが冷めてしまった。
原作にあるバトルらしいのでファンだとちがうのかな。

■衣装ビジュアル
主役である少佐の衣装がダメだった。
原作の画像見たら寄せているのはわかるんだけどとにかく地味。

原作のコピーにこだわって、スカヨハっていう最高の女優の魅力を減じては話にならない。
もっとクールな感じでもセクシーな感じでもできなかったのかな。
服脱いだときのボディもなんかもうちょっと映像的に驚きのある質感にできなかったのかなあと。
ココが最大の不満かもしれない。

■スピード感
スローモーション多用のアクションシーンはまあまあよかったと書いたけど、
逆にスピード感出すシーンのテンポ感があと一歩足りない気がした。
ここは編集の問題か。

ビルからダイブしたり、バイクで疾走したりするシーンがなんかもっさりしてる。
スピーディーさとスローのメリハリが不足。
HONDAのバイクかっこよかったから、ハイウェイを超高速で疾走させて欲しかったな。

■脚本
話の展開が最初からだいたい読めて凡だった。
この手の展開って、せめて黒幕が主人公の理解者とか上官ならベタでもまだ感情動くんだけど、
それですらないから物語的にまったく心が動かなかった。

■既視感
全体として「これどこかで見たよな」感が終始ただよっていたという印象。
ブレードランナー/マトリックス/マイノリティリポートetcの作品は、当時は画期的だったはずだが、
それらを映像だけ少し綺麗にして2017年にそのまま再現してもフレッシュには感じられない。

同じく2017年に公開された『ブレードランナー2049』とどうしても比較してしまう。
・ブレラン2049は本作よりも圧倒的に映像のフレッシュさがある
・主人公が自身の過去を知るまでの過程の劇的さ
など、どうしても見劣りする。

彼女が、自分が何者であるか知る展開がよくわからなかった。
アパートに行っていったい何を感じたのか。

ただ話を聞いて「そうだったんだ」って思っただけなの?
部屋の中のアイテムとかネコとか、なにかを観たり触れることで劇的にスイッチが入るようなシーンを映像で見せてくれないと響かない。


【スコア】
★2.5で。
画面は綺麗だし原作ファンは「おっ!」と思う要素が多いのかもしれないですが、
2017年製作のSF映画としてみると凡作という印象です。
スカヨハ好きなら2014公開リュックベッソンの『LUCY』のほうがオススメ。彼女の魅力はあちらのほうが出ています。