みむさん

人生はローリングストーンのみむさんのレビュー・感想・評価

人生はローリングストーン(2015年製作の映画)
3.5
作家として注目され成功したデヴィッド・フォスター・ウォレスと、彼の真の姿を密着取材するローリングストーンズ誌記者の物語。

作家としてちやほやされ脚光を浴びることに快感を感じる人もいればストレスを感じる人もいる。
ウォレスは成功に喜びつつも、どちらかというと後者のようだった。

かつて鬱で苦しんだこと、それを救ったのが本や執筆活動だったこと、彼の作品は売りだそう有名になろうとして書かれたものじゃないんだろう。
脚光を浴びて自分を見失うのが恐ろしいと自覚しているだけ彼はまだよかったんじゃないかね。
作家だけでなく、著名人で似たようなことを言ってる人もいる。

自身の姿がさらされ、イメージを固定され、自分の意思とは関係ないところでどんどん大きくなっていく自分に戸惑う。これって脚光を浴びた人しかわからない感覚だが、想像はできる。本来の自分とのギャップが大きいほど戸惑うだろうね。

そんなちょっと心閉ざし気味の彼に密着取材をさせてもらうには相当こちらも誠意をもって心を開かなければならない。

記者役のジェシー・アイゼンバーグ、相変わらず早口でよく喋るが、その親しみやすい姿と熱意で気むずかしい作家との絆を築く。良い役だったな。

ラストシーンを見るにもしやデヴィッド・フォスター・ウォレスはその後…?と思ったらやはりそうだった。つらいけど、彼らが過ごした数日間は濃密な友情を築いたと思う。