空海花

人生はローリングストーンの空海花のレビュー・感想・評価

人生はローリングストーン(2015年製作の映画)
3.8
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ポストモダン文学の旗手と呼ばれた作家デヴィッド・フォスター・ウォレスとローリングストーン誌の若手記者の5日間の旅路を、実話に基づいて描いたロードムービー。
2015年サンダンス映画祭で上映、
A24が配給権を獲得。

ローリングストーン誌の新人記者デヴィッド・リプスキーは、気鋭作家ウォレスの作品に感銘を受け、密着取材を申し込む。
新刊のブックツアーに同行することになったリプスキーは、気さくなウォレスとすぐに意気投合。
しかし旅を続けるうちにウォレスの心の闇が徐々に明らかになり、2人の間に気まずい空気が流れはじめる。
二人のデヴィッドを演じるのは
リプスキー役がジェシー・アイゼンバーグ
ウォレス役がジェイソン・シーゲル。
二人がすぐに打ち解けていく会話が耳に心地良い。
ジェシーのあの早口も全開で
穏やかで知的なシーゲルの演技は特に良い。
後で本人写真を見たらそっくりで驚いた。

天才と呼ばれる一方で凡庸であろうとし苦しんでいる作家
その才能に憧れつつも、売れない作家である自分の平凡さに引け目を感じている記者
だがまるで運命の出会いのように止まらない会話
感性の光る会話劇。

ダイハードは傑作。
犬ともすぐに打ち解けて…
シビックはエンジンが良すぎるのが問題だ。

脚光を浴びて1番困るのは
悪い評判が気になること
悪い評判で傷つくと
銃の口径は22から45に跳ね上がる。

本は孤独を遮るもの。

旅が終わった最終日の朝
言い合いを思い出に変えた二人は友人になっていたと思いたい。

ウォレスからの郵便物にメールアドレスはなかった。
渡した本の感想は送られたのだろうか。
それでもリプスキーの孤独は、その旅で幾ばくか埋まり
彼の人生を大きく変えたことに違いはないだろう。

ラストシーンはリプスキーが自身の本のツアーに参加している14年後。
少しパーマを抑えた髪型だけでなく
落ち着いた雰囲気が出ていて良かった。
しんみりとしつつも心がじわじわと温まる良作。

原作はデヴィッド・リプスキー「Although of Course You End Up Becoming Yourself」

デヴィッド・フォスター・ウォレスは2008年46歳の若さで首を吊って自殺。
大学教授でもあった彼は、ケニオン大学でのスピーチが2010年タイム誌で学外者スピーチのベストワンにも選ばれているらしい。
あんなに温かく知的でデリケートな人の本を読んでみたいと思った。

ちなみに「ローリング・ストーン」は私の座右の銘みたいなものだが(笑)
この映画のタイトルにはそぐわない。


2021レビュー#212
2021鑑賞No.449


ジェシー・アイゼンバーグ出演作から
ねこ無双さんのおすすめでした😆
ありがとうございました✨
空海花

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