ダイセロス森本

アイ・アム・マイケル(原題)のダイセロス森本のレビュー・感想・評価

4.5
同性愛をテーマにしながら、人変わるのかという永遠のテーマと共に静かに締めくくる、心の映画。事実をもとにした映画。

ジェームズ・フランコがゲイの男性役を演じる。
彼氏と愛し合い、とても良い関係を築いていた。ゲイを支持するマガジンも出版し、ゲイの第一人者のような視点で描いていくのかと思いきや、彼はある決断を下す。それは”ノーマル”になること。
ストレートになり、女性を愛することが、キリスト教の教えであると。
クリスチャンとしながら、彼を愛していた彼は、愛に満ち溢れていたはずだった。
でも牧師となり、人に”同性愛は神が許さない”と語る彼。

そしてあのラスト。

彼の中で何回も気持ちが行ったり来たりするのがよくわかる。ジェームズの素晴らしい演技力で、その気持ちの揺れ動きが描けていた。

最後、彼は自分の道を見つけたのだろうか。私には、彼の表情はまだ、自分にさまよい続けているように感じた。

人間はどう変わるのか、どんな思い付きでなにをするのか、予測不可能である。でも彼には、彼の行動には、きちんと結末があったはずだ。

ここで切り上げた映画の意味は、そのあとを心の目で”見せる”ためだったのだろうか。それとも、これで彼の人生は続いていくのだろうか。

とても難しい。でも、きっと彼はまたあの人のもとに戻ると、私は信じている。
彼は救われていない。とらわれただけだと、私は信じる。