shibamike

ロックン・ロール・サーカスのshibamikeのレビュー・感想・評価

4.5
狩野三毛孝「ラーメン、つけ麺、僕イケメン!オッケー!スザ・フゥー!スザ・フゥー!」

ザ・フゥー目当てに劇場へ。

youtubeにもこのときのザ・フゥーのパフォーマンスがアップロードされている。
その動画でたくさんイイネのついているコメントがとっても良い。
 joelle johnsonさんというどこか外国の方だと思うけれど、
「嫌なことがあった日、この動画を見ることより良いものは存在しない」
みたいなコメントで、2000くらいイイネがついている。同志が世界中におるんやね。
ザ・フゥーのパフォーマンスに限らず、人それぞれお気に入りの素敵なもの、というのはあると思います。さういう世の中が良いと思います。

いつかのピートの発言に、
「ロックンロールは君の悩みを解決しない。悩ませたまま踊らせる。」
みたいなのがあったはずで、このjoelleさんのコメントはまさにピートの発言とぴっまんこチンチ…ぴったんこカンカンしているやうに思う。
自分も世界中のみんなとおなじく、何も考えずにクイックワンが爆音で聞きたかった。大スクリーンで見たかった。
本っっっ当に、嫌なことばっっっかり!!
狩野三毛孝「スザ・フゥー!スザ・フゥー!」

クイックワン、本当にサイコーなのだけれど、自分は「デーン!デーン!デーン!デーン!デーン!デーン!デーン!」ってみんなが馬鹿みたいに叫ぶところからが特にクライマックス(大体みんなさうだわな)。
ロジャーとピートの足踏みがシンクロし、ピートがウィンドミル、そして床を踏み抜いてないとおかしいくらい力強いジャンプを決めるのだけど、こんなカッコいいことがあって良いのか。バンドの演奏は自分の曇った胸を怒涛の嵐で吹き飛ばす。

you are forgiven!
許してあげる!

怒涛の嵐は自分の憂さを吹き飛ばすのだけど、そこはねちっこい性格である自分のこと、空洞になった胸にはすぐさま世間への妬み・恨み・そねみ・(松野)明美が毒ガスよろしく充満。
松野明三毛「ユーアーフォーギブンってですねぇ!許してもらったところでですねぇ!こちとらですねぇ!これっぽっちもですねぇ!うだつがですねぇ!上がらないんですねぇ!」
まさに悩みながら踊る。
自分の不平不満・愚痴・弱音が、佳境を迎えるパフォーマンスと激しくもつれ合いツイスト。
収入の高低、財産資産の所有・非所有、年齢相応の社交性・人間関係構築のプレッシャー、中年ファッションと若作りのジレンマ、弱者男性という概念、親類や周囲の人間達の高齢化、他者との比較、自己実現の有無、日常充実の是非、人生の勝ち負け、等々のっぴきならないムカつくことや不安要素がいっぱいあるけれど、やっぱり演奏に夢中になって松野明美ともども忘れてしまう。

演奏が終わり、自分の中のどす黒い感情も薄まり、途端に我に返り恥ずかしくなる自分。
柴三毛「ピ、ピートも結局セレブじゃねえか!」
と恥ずかしさをごまかすために、自分は理不尽に突っかかってピートの鼻にかじりつきたい(ガブリッ!👃ピート「👃アウチッ!staffーッ!staffーッ!(助けを求める悲鳴)」)。

このパフォーマンスを爆音で浴びている間は、哺乳類最強もしくは無敵人間になっている気がする(他のこと全部だうでもよくなるものね)。
そして、さういう無敵になれるものがみんなそれぞれにあれば素敵だと思います。さういう世の中が良いと思います。

地の塩に乾杯!

柴三毛サーカスの一句
「バンドより 火を呑む奇術 凄かった」
(季語:バンド→ザ・フゥー→キース・ムーン→マザー・ムーン→旧・統一教会→冬)
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