まりぃくりすてぃ

ロックン・ロール・サーカスのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

5.0
先々月、ウイルスうつされちゃった。


ところで、、
27クラブの門前をしばらく前に通り過ぎた私なんだが、「人生で最ヘビロテしてきた」と胸を張れる一まとまりの映像が、これダヨ! 映画としては5点まではつけれないけど、映画じゃないから堂々5なんだ♪
自分んちで百回以上観たよ。ずっと前、行きつけの酒場のプロジェクターでも毎晩こればっかり流してくれてたりした。ザ・フー部分だけだったら(去年頃から再解禁されたみたいなネット動画のを含めて)千回以上! フーんとこは、聴き終わりのたんびに拍手してるよ! 嘘じゃない。心から叩く。この映像中の A Quick One と、スタジオ録音盤クイーンⅡの The March Of The Black Queen だけだよ、私にほぼ必ず手を叩かせるロック史上最高パフォーマンスは。
さて、フーが神すぎるんだけども、、
それとともに、、、
死の直前のブライアンの生前葬!!を永久チルドした “慟哭の” ドキュメンタリーであることも周知の通り。ストーンピープルの一人としては、この点だけでも1億点だね♪♪
ロック界の最重要な映像史料の一つです。何といってもザ・ラストな彼をこれだけたっぷりだから!! 表の三大主役は誰がどう見たってミックジャガーとフーと “汚れたマッカートニー”。そして陰の主役として全ストーンピープル向けに目立ちつづけちゃって足を確実に引っ張ったブライアン。「おまえのせいだ。キースも普通すぎるじゃんよ」と獅子奮迅ジャガーに責められたかどうかは知らないけども、やっぱり生前葬映像としか云いようがない。
ああ、、、
引き攣った作り笑いの惨めなブライアン。
天使みたいな、本当っぽい極上の微笑のブライアン。
病的な老けた醜いブライアン。
デビュー頃と同じくキラキラしてる美ブライアン。
ギター音をほぼ消されちゃってる二曲目までのブライアン。
しっかり爪弾きを響かせてる三、四曲目のブライアン。
プライドも幸福も肉体もズタズタなのに、最後の意地とプロ意識で必死にマラカスを振りつづける、無言の叫びの五曲目のブライアン。マラソンびりランナーのみっともない誠実さと温かい諦めなさ!! 無言だからこその。
さらに最終曲。帽子を小道具に、ラストスマイルを主武器に、最後までオシャンティーなブライアン。最後まで一言も発しなかった元リーダー。
そ・し・て、、、
悪魔というものは確かにいるのかもしれない。。。。


先々月なんだけども、私は女二人組に変なウイルスをうつされたみたいなんです。
ランチし始めようとしてた一人暮らしの休日の私んちを、よくいるキリスト教布教のオバサン&年齢不明の部下が訪ねてきたのだ。面識とかいろいろあって、門前払いせずうっかりドアを少し開けてしまった。二人とも白マスク。
「今、感染症が流行ってますからね、この姿で回らせていただいてます」
そう言ってオバサンのほうが、月刊冊子を私に手渡した。顔とか近づけたくなかったし、私は黙っていた。
「現在の世界の様子を聖書がずっと前から正確に予言してるのを、ご存じですか? 黙示録のこのあたりなんですけど」
彼女は手に持つタブレットを私に読ませようと開いた。無興味なのに私は、うっかり玄関からにゅーっと首を伸ばしてしまった。こっちはマスクしてない。(だって、ごはん食べようとしてたところだもん。)
すごく顔が近い、ヤダナー。一字も読む気がないままだけど、うっかり十秒ぐらいも画面(と彼女)に最接近していた。
適当に生返事して、帰ってもらった。
ヤダッタナー、神なんてイルワケナイジャンとぶつぶつ私は奥へ戻り、冊子を捨て、彼女らをすぐ忘れ、ごはんに手をつけた。(お刺身とかだよ。)
だが、食後すぐ頃から、何か喉がモゾモゾ痒くなってきてることに気づいた。くしゃみ数回。そういえば、さっきうがいをし忘れた! 何という抜かり!! あたしってば、ボーッと生きてんじゃねえよ!! でも、まさかね。向こうはマスクしてたし、触れ合ってないし、さすがにあれだけで感染ってのはないよね?
彼女たちに恐ろしい黙示録を読まされかけてから三十分も経ってないのに、どんどんどんどん異状が表れだす。寒け! だるい! さっきまで体調良好だったのに。ほかにどこで誰からうつされたとかそんな思い当たること一つもなかったのに。頭痛もするよ!
あの女たちがわざわざ私にうつしに来たんだ! 神を説いてるけど、あいつら悪魔じゃん! 神なんていないから天使も悪魔もいないんだけども悪魔だけは本当にいるんだ!! こういうふうに実在するんだ!!! あーぁ、やられちゃったぁぁぁぁ!!!!
いやいや、もう、そのお午を境に本当に体調が激変した。
体温は怖くて計らなかったけど、何だか熱っぽい。(くしゃみ・咳・鼻水・喉の痛み等はまったくないのだけど)悪寒と体の重さだけは確実に。寝不足や単なる疲労や毎月のや普通風邪やインフルの時と明らかに違うぞ!
わかりやすく書こう。ずっと前、海外旅行前に狂犬病だったか破傷風だったかの予防接種を自主的に受けて副作用で体がおかしくなって一週間ぐらい苦しんだことがある。その時のだるさとそっくりだ。「毒物を体に注射された後」の感じ。私は、悪魔二人組によるこのウイルスが新種の特殊毒なんだと確信した。
どうする!!??

「即刻、自力で、治す」。これしかない。即刻だ、即刻。
私は去年『天才作家の妻』のレビューのとこで書いたとおり、「初期の風邪は葛根湯などで治せても、ひとたび本格化した風邪は数日から一週間ぐらい苦しんでからじゃないと完治しない」のが普通であるところを「お屠蘇を飲めば、発病後でもサッと半日か二日程度で治る」ということを数年来実家の母と二人がかりで人体実験までして突き止めており、毎年末に屠蘇散(一袋百円ぐらい)を何十袋も買い込んでみりんや日本酒に少しずつ漬けて冷蔵庫内に常備している。これを早速、飲んだ。
ウイッ。真っ昼間からいい気分。
さらに、ビタミン剤(QPコーワゴールド)。
そしてこんな時こそ、筋トレ! 縄跳び! いい汗。
熱いお風呂に、最後は冷水浴び。キュッ。塗り塗りしたのはヴィックスヴェポラップ。
夜ごはんの前には、葛根湯。定量の倍を。
栄養たっぷりつけたよ。(肉とか、かちゅー湯とか。←カツオブシに熱湯かけたもの。)
そんだけじゃ足りないと思ったから、世界最強ザ・ローリング・ストーンズをヘッドフォンで大音量で聴くことにした!
そうだよ、心身の何でもかんでも、ストーンズのアガるナンバーこそが特効薬になる!(世界共通の真理)。
ホッホッホー、わが好き順第2位曲JJF!(これはミックジャガーが自伝として歌詞を書き、世界中の落ち込んでる人みんなが即座に元気になれるようにという思いで唄ったんだからね。ステレオバージョンが◎!)
第3位曲 I Don’t Know Why(カヴァーだけども)。
第4位曲 Brown Sugar(イントロはジャガー作だよ)。
第6位曲 Out Of Time(シングルバージョンに限る)。
とりあえずその超オキニ四曲を繰り返し繰り返し聴いた!!
うん、治ってきたみたい! 立って踊って聴きつづけた。元気溢れてきちゃった、どうしよう。。。

咳・痰・くしゃみ・鼻水・鼻づまりがほぼまったくないまま、かすかに体の重さだけが残ってた翌日日曜、私はさらに葛根湯・QP ・お屠蘇(毎食後。ウイッ。一日中ほろ酔い♡ 気分はお正月大吉みくじ♫)・ネギ&ニラ・かちゅー湯(気分はカチャーシー♬)・肉・ヴェポラップ・ストーンズ等々で体調アップをやり抜いた。
完治。
てことで、月曜朝、早めに起きて検温し、体のどこにも何の不調もまったく全然これっぽっちもないのを確かめてから、颯爽と出社。マスクはもちろんしてるし、ビニール手袋とかで人にも自分にも気を遣った。

以後、体は(今に至るまで)ずっと軽い。完勝。MVPは、JJFとお屠蘇だろう。
全世界の者どもよ、何パニクりつづけてんのさ? 自己免疫力をハイキープすることが最優先なんだよ。ウイルスちゃん、さようなら! コロども、火星にでも行っておいで!!!!


さて、そんな難しい三月以降、私はストーンズを聴く日がますます増えた。『ロックンロールサーカス』は実家にVHS、自分ちにDVDを持ってて、家族と観たり一人で観たりを久々に繰り返した。コロナ騒ぎの世界に新曲(全然つまんない曲だけど)をドロップしてくれたばかりのわがストーンズ(といってもビル脱退後の彼らにはあんま惹かれないけど。てかビルの暴露本読んでからストーンズ聴くようになった不思議経歴な私だけどww)。

 
ジャガーがどんなTV番組を意図してたかっていうと、「サーカス仕立てでロックショウをプレゼント。暴れ屋のピートタウンゼントらに前座を任せて、わがキースを余裕で貸し出す形で、まずは敵側ダーティーマックに1点だけ献上してやる」。
あ、サッカー試合に譬えてます。後半予定は、楽観的というよりは当時のバンドの勢いを思えば当然の策略。ルーズみが取り柄のバンドを緻密ぎみに率いる策略家らしく、ジャガーさんの心の声は、、、
「後半キックオフから怒濤の攻め。前座は一曲ずつだけど俺たちゃ連続五曲(+アンコール)だから、じっくり行ってもいい。いや、JJFで1点返せるだろう。客を沸かせて満を持して Sympathy For The Devil で勝ち越し点だ。てことで、2-1。ビートルズももうガタガタみたいだし、今からストーンズの天下だぜ! 何せ俺たちゃ白人の顔をした黒人だからな。根っこの音楽が本物なんだ。ブルーズジョン含めてブルースマンをいろいろ呼んだんだぜ。企画力だけでもすげーだろ!?!」
だが、だが、単なる前座枠(ほんの二組目)で汗かいてもらうだけの予定だったザ・フーが、いきなり1点入れちゃった!!
「ええーっ、何だよ何だよやばいよやばいよ、話がちがくねー??? 帰れ! フーなんか今すぐ帰ってくれーーーっっっ!!」
しかし、コホンと咳一つのジャガーは取り繕ってみせる。予定通りにキースをいったん貸し出して、ブルーズジョン仁王立ちの神バンド “汚れたマッカートニー” に凄いのをやっていただく。0ー2になっちゃった。。
「おい、キース、闘志と体力残ってるだろうな? OK? よし。ブライアンはまだ生きてるか? あ、いればいいよ、いるだけで。アンプにはつながないでおけ。俺だけ撮ってくれればいいからな。よし、ハーフタイム終了」
ところが、、、、
「あれ? 大ヒット曲JJFからなのに、何か変だぞ? 何のせい? 俺はちゃんと唄ってるぞ。動いてるぞ。動かない人(ビル)も悪くないぞ。ストーンズ標準、いや、それ以上だ。全然下手じゃない。誰かシュートしろよ。あ、FWは俺か。とりあえずボール来てるから振り抜くぞ。あれ? 枠外だ。体軽いんだけどなぁ、おかしいな」
ジャガーは走りつづけます! スタミナ充分。
「二曲目もすげーだろ。何せ傑作アルバムが続いてるからな。アメリカにだって負けねーはず。。にしてもブライアン、穴掘りするみたいな服着てるな。あいつポジション何だっけ?」
異変に気づいたか気づいてないか、ジャガーはとにかく落ち着いて捌いてる裏で焦ってます。彼はのちに自分でモニター覗き込むまで違和感の真因に気づきません。答えは明らか。ザ・フーが予定外に凄すぎたからです。あの華麗すぎた先制点がすべての歯車を狂わせてます!
「よし、ブライアンの野郎にボール持たせてやる。元々超絶個人技のスターだったヤツだからな。スライドギターで魅せてくれー。俺はいいパスにひょいっと反応してねじ込むからな。任せろよ。任せろよ。おー、腕落ちてないなー。でも、あれ? 敵は2-0にすっかり気をよくして鍵かけたみてーに堅守だなぁ。なかなか点入んねえ。。そろそろ俺たちやばくねえか? 時間あと何分ある?」
まだまだ元気いっぱいのジャガー。後ろのキースをいつもどおりに信頼し、動きつづけます。
「くそっ! ノッてねえんだ! 俺と観客がノリきってないんだ。わかったぞ、そこだよそこ。よし!」
四曲目 You Can't Always Get What You Want でついにハジけます!! みんな良くなってるよ!! 何よりも、ブライアンのギターがちゃんと聞こえだしてるのが嬉しいし! やったーーーぁ!
だが!! ゴールならず。惜しいシュート数回というだけ。つまりは、あまりにもフーの1点目が凄すぎたんです。フーズプレッシャー恐ろし。
さすがに、ジャガーの焦りは本物に。タイムアウト要求。キースに詰め寄ります。
「おまえ、まさかジョンレノン側のスパイじゃねえだろうな? もっとスルーパスとか出せよ。何か普通すぎんだよ。次の曲で必ず俺は2点獲るからな。くれぐれも言っとくけど、ブライアンとの喧嘩は場外でやってくれよ。いいか? 今から2点獲る。俺を信じてくれ」
人格者チャーリーは黙ってウンウン頷く。つまんなそうにビルは隅っこで「3点獲らなきゃ勝てなくねえ?……」と呟いたけど、誰の耳にもその正論は届かない。キースは煙草が切れて「おい、誰かくれー」と脇にわめいてる。ブライアンは手鏡を出して髪を整えなおす。。
よし、いよいよのクライマックス曲! 悪魔よここに来いっ!!!
この曲ではリードの取り方でいろいろ決まっちゃうのでキースは、ブルーズジョン組での献身的ゴキゲン感の名残を放り捨て、自バンドのためにいかに悪魔降霊の助祭役?を努めるか覚悟を増量。刻みの良さと流麗さと冷たさと暴力性が全部要るから。でも、ムリしてもしょうがないから、と流れに任す。
さあ、ソロだ! こんなもんでいいでしょう! キース合格。つんざくソロはもう一回あるよ。
その反対側で、、、ブライアンが凄いことになっていた!!!
ブライアンの精神力が凄い!!!!
ミックはもっと凄い! おぉぉぉぉぉぉ、悪魔だ! 悪魔が来たぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!
そしてブライアンを下から上まで、の決定的カットが差し込まれる!!!!!
いったい何が起こったのか、1ゴールは確かに決まってる。続けざまに2ゴール目も入れたのか何なのか? オフサイドとかハンドとか何が起こったのかよくわかんないままにいつのまにかスコアはややムリヤリに2-2になってるみたいなんだけど????
タイですか? まだビハインドですか?
こういう時はチャーリーに訊いてみよう。
「え? 知らないよ。……俺が働いてたのは数分だけだから。残りは、ただ、いただけ」
人格者チャーリー、何を言うの? じゃあ、監督さんはどんなご意見?
「リーダー(ジャガー)が『入った』というなら入ったんじゃね?」
じゃあ、ジャガーさん、手応えは? 1-2なんですか? 2-2ですか? 厳正に。または贔屓目で。まさか3-2なんて言わないでしょうね?
「はぁ、はぁ、、え、何? ちょっと、汗拭くから」
そのままジャガーさんは控え室へ。
誰か? 誰か、解説してくれる人は? 松木さぁぁん。

そういうわけで、けっこう長い後半が終わってみたら熱戦は、とにかく当初の「最強の敵を迎え撃って2-1でホーム側が逆転勝ち」のシナリオが崩れた時点で無限の混乱が始まってしまったままで、誰がどうでも盛り上がればいいんでしょの観客がみんな大喜びで Salt の平和友好空気に誰も文句なしで、解散。じつは観客の大半が疲れきってた、という証言も。
試合後、燃えるキャプテンジャガーはぶつぶつと自分にも仲間たちにもフーたちにも文句たらたら。
「こんな無様なゲームは放送させないぞ。断固としてさせない。お蔵入り決定だ!」
まあ、お蔵入りには別の原因もあったんだけどね。

それから何年も経ってピートにジャガーは電話。
「ゴメンナ。君たちの歴史的な神技を世間に見せてやれなくて。そこの場面だけ、あげるよ。何かに使ってくれ」
「気を遣ってくれなくてもいいよ。あの程度のパフォはいつでもやってるから。それより、元リーダーが死んじまったんだからな、今さらあんな元気ねーブライアンの姿を世間に晒すわけにもいかねーよな」
「うん、、、まあ、そういうことだ」


◆補足(プログラム順)◆

☆入場行進 80点
(チャーリーがなぜか怯え顔してる。ブライアンの笑顔キレイ。ジャガー団長のAライン髪と蒼白さが最初から悪魔的です。。)

★ Song For Jeffrey /JETHRO TULL 100点
(むさくるしくてお地味だけどもかなり上手い。唄も。サーカス的にかトリッキーに動いてる三人をよそに、トニーアイオミだけは不動。だって、彼は指がないのにギター弾いてるそれだけで既に魔法の人なんだもんね!)

★ A Quick One/ THE WHO ∞点
(クイーンの一番有名な曲のそもそもの下敷き曲がこれであることはほとんど誰も知らないみたい。この歴史的パフォを超えるものは、ロック史において楽曲的にも Black Side Medley ぐらいしかない。エレクトリックブルースにまで裾野を広げたとしても、ジミヘンの Voodoo Chile ぐらいでしょうね。序盤から世界一のリズム隊二人は、あのリンゴスターの生涯最高プレイと “常に最高の” ポールマッカートニーが一番すばらしく絡み合ったといわれてる Rain のドラム&ベースに軽々と追いついてます。ロジャーの痛さを愛せるようになればあなたもフーファン初段。ロジャーは一番強くてしょっちゅうほかの三人を殴ってたんだよ。衣裳がいいね。特にピートの水色! ジョンのおつゆが一粒飛びます。ヴォーカル一人に偏らないフー用のカット割りとドラマティックなキャメラワークも奏効して全然飽きる瞬間を私たちに生まず、ふざけた歌詞に似合いすぎためまぐるしい組曲は、怒濤の終盤に向かって咲きに咲きます。踊るよ、私。ジャンプするよ。キースムーンとピートタウンゼントの見せ力は月にでも火星にでも飛んでいきそう! とともに、今にも人種差別しそうなピートの面構え(デカ鼻、青い目)には東洋人としていつもながら警戒心を呼び起こされます。私たちはコロナウイルスじゃありませんッ! さて、今日も拍手!!! それぞれが三人分ぐらいずつ働いてくれたね! さすが。曲後のブライアンの指笛拍手笑顔は、ストンーズ内で孤立しててフーにだけ優しくしてもらった彼の、真正直な態度だね、きっと。)

☆本当のサーカス 20点
(空中ブランコ。チープなぐらいにあっけないけど、最後のラテンな感じの礼が映えた!)

★ Ain't That A Lot Of Love/ TAJ MAHAL 100点
(唄すごく上手いタジ、肌汚いっ。手拍子の重たさのブサイクさも、枯れた味わい。ジェシーさんの、これぞテレキャス?なきらびやかな音とギターボディーの色模様が印象的。それより、ドラムのチャックブラックウェルのカッコよさが王子様っっっ♡♡♡ まるでデニスウィルソン+木内泰史+全盛期のブライアンジョーンズ、をさらに1.5倍美しくしたみたい! タジの肌汚っ!)

☆チャーリーによるマリアンヌ紹介 100点
(清潔なチャーリー以外にはムリな役。適正!)

★ Something Better/ MARIANE FAITHFULL 98点
(確か、流産か死産か中絶のすぐ後だったんだよね。瞳孔開いてる。死体が唄ってる! こんなお淑やかな姉が欲しい。アイホールと睫毛以外はナチュラルメイクなのに、女クラウンに見える。ねえ、生きてんの? 死んでんの? 途中で立ち上がったりすれば満点だった。)

☆ ラヴリールナと火喰い男 180点
(このロックンロールサーカス全体の中で、唯一、私がやれそうな役がルナ。何もやらないズルそうなお花なところに共感しちゃうwww  火喰い男は、全出演者の中で一番大変なことしてるのに、拍手と歓声がちょっと足りてないぞ。ねえ、熱くないの? 何で熱くないの?)

☆ ジョンレノンとミックジャガーの会話 130点
(ドスの効いたジョンの低声。信頼しきったジャガーのイイ人ぶり。澄んだ目をしてるジャガー。。。)

★ Yer Blues/ THE DIRTY MAC 500点
(ブルーズジョン自身によるこの選曲がまず最高なんだよね。ここが誰の庭かってことを完全に理解してるよ。もちろん圧巻です、性格悪そうなエリッククラプトンも。途中、三者のシューズを撮るカメラに痺れる。ミッチミッチェルは、遠慮っぽい叩き方かな。もっと目立ってもよかったのに。オリジナルに忠実にマイクを遠ざけて唄うところとかに、ジョンの丁寧な骨太さを感じます。ところで、隅っこでゴソゴソやってたブルカ姿?のヨーコ、カメラさんに相手してもらえなかったね。)

★ Whole Lotta Yoko/ YOKO ONO、 IVRY GITLIS、THE DIRTY MAC 90点
(いい意味で狂ってる。これでいい、正しい、と云わされる私たち。)

★ JJF(これよりストーンズ)98点
(開始時にチラッとビルを映す。この大ヒット曲の原曲の作者が誰であるかを60年代の時点でほのめかしてくれているこの編集は、大変にフェアだ! 離脱者たちはそれぞれに多大な置き土産をストーンズに残してくれた。ブライアンはストーンズそのものを、ビルはストーンズの一番人気曲であるこれと暴露本を、ミックテイラーは真の最高曲である Time Waits For No One を。だが、、JJFは、スタジオ盤のカッコよさが満点すぎて、そもそもライヴパフォーマンスで万人の度肝を抜くということはおそらく一度もやれてない。やれるはずがない。やらなくていい。にしても、ここでは、ただのウォーミングアップ曲にしかなってない。普通にやってて普通にすばらしいんだけど、凄味はない。ここでのビルの姿勢とベース角度はビル史上最高にイケてるし、チャーリーの気品。だけど、キースの堅実さは可も不可もない。服装ふくめてブライアンがみっともない。)

★ Parachute Woman 98点
(選曲勝負。ブライアンがきしょいまま。)

★ No Expectations 99点
(ブライアンが面目躍如。まだまだギター弾ける人。はっきりそうわからせてくれる。バンドもじつにいい感じ。ただ、それだけ。ラストの観客の熱気からミックが何かに気づいたみたい。)

★ You Can't Always Get What You Want 130点
(先述したとおり、ここから盛り上がります! 何か違うぞ、唄いだしから! ミックの気合。ブライアンの音色がハッキリ聞き取れるのが嬉しいし。観客席の女の子たちのうちの赤ブラウスのビッチっぽい子がすごくその頃の映画的でイイ。)

★ Sympathy For The Devil 480~800点
(さあ、メイン曲。さらなるジャガーの独壇場。てか、前曲での一体感を引き継いで、みんなノッてるよ! キースは無難を超えて調子を上げてきたみたい。黙々と魂のマラカス振りに打ち込むこのブライアンを「何この人?」と思うか「泣かせる侍」と思うかで、ストーンズ愛の有無がわかります。キースの二度のつんざくソロ、悪くないよ。でもソロ後にへばる感じがちょっとある。これがテイラーとの差かな。もちろんジャガーの憑依場面が本作全体のクライマックスだけど、その後の、ブライアンを愛惜いっぱいに足から顔までティルトアップ?していくほんの二秒ほどのキャメラこそが、エモ面でも史料的にも真のクライマックスかな! とにかくジャガーは『エクソシスト』よりも前にこういうことやってたんだから、頭いいよね。)

★ Salt Of The Earth 200点
(ホッとしてるみたいなキースが渋く唄いだしてくれます。疲れはみんなから伝わってくるけどヤケクソ感じゃない。和気藹々だね。ここでのブライアンは、淋しそうに・楽しそうに・ラリってるように・女の子みたいに、と千変万化な笑顔で私たちをクギヅケにしてくれます。彼の最後の輝き。水色帽子の彼を、曲のあいだ本当にずっと追ってた私の目。
今年は何回忌になるのかな。私が生まれた時にはとっくにとっくに死んじゃってる人だから、とっくにとっくに成仏してるだろうね! ありがとう、私たちの世界一のストーンズを創ってくれて。これからも大好きよ!!)


最後に。
この『ロックンロールサーカス』を「出来が悪い」と約30年間にわたって封印した判断。負けを負けとしてきちんと認めることのできたミックだからこそ、結局はストーンズを世界一の成功バンドにしたんだな。
今年2020年のニュース。ポールマッカートニーが何かのインタビューで「ストーンズは大好きだよ。でも、ビートルズのほうが優れてる」みたいに答えたそうだ。それを伝え聞いたミックジャガーは、「ビートルズはあっというまに解散してしまった。でも、ストーンズはずっとやりつづけてる」と語ったそうだ。「ストーンズのほうが優れてる」じゃなく、そう言ったのだ。。。。。