今日の試写会は「エール！」。フランス映画祭で観客賞を受賞したという作品だ。
4人家族のうち、父、母、弟の3人が耳が聞こえないポーラは家族の中で唯一耳が聞こえる存在だ。家族は農場を経営しているが、唯一の話せる人間として、ポーラは家族を支えている。だがひょんなことから入った学校のコーラス部で才能を見出され、ポーラは歌手を夢見ることになる。ポーラは耳の聞こえない家族を残して、音楽学校のあるパリへ行くことができるのか？
前半は全員耳が聞こえないという家族生活をコミカルに描いているが、中盤以降は夢を叶えるために家族を捨てるのか、家族のために夢を諦めるのかという葛藤と、そのポーラの「歌」そのものがメインになってくる。それもそのはず「セザール賞」始め数々の映画祭で最優秀新人女優賞を獲得したポーラ役のルアンヌ・エメラはフランスで人気のオーディション番組で「奇跡の声」と呼ばれデビューした歌手でもある。また全て手話で繰り広げられる演技もコミカルに見えながらたいへんな努力だったに違いない。
特殊な家族の事情に悩みはするが、全てを乗り越えて行くルアンヌの若さとたくましさ。娘を支える家族愛。エンディングの走るルアンヌの笑顔がいきいきとして素晴らしい。あくまでも爽やかなヒューマンドラマです。
