きゃん

エール!のきゃんのレビュー・感想・評価

エール!(2014年製作の映画)
4.7
聴覚に障害がある家族の中で唯一耳が聴こえるポーラ。耳が聴こえない両親と弟の耳となり、家族と周囲の人たちのコミュニケーションの橋渡しの役割を担っていた。気になる男子目当てでコーラス部に入ったポーラはそこで音楽の才能を見出されれ、音楽の道へ進みたいという夢を持つようになる。家族と自分の夢との間で揺れ動き、葛藤する様子を描いた作品。家族の愛、絆が強く感じられる感動作。

ポーラの両親と弟は聴覚障害を持つがオープンでとても明るく、元気。父親は耳が聴こえないのは個性だと言う。口が悪く頑固な父、陽気でデリカシーのない母、おませな弟にポーラは困らされてばかり。だけどポーラは絶対に家族を見捨てず、家族が周りと上手くやっていけるように気を使う優しい子。
音楽教師にパリの音楽学校のオーディションを受けることを勧められ、夢に胸を膨らませる。彼女の歌を聞くことができなく、彼女がいなくなった後の自分たちの生活に不安を抱く家族は大反対。

学校でのコンサートのシーンが印象的。ポーラの家族は歌を聞くことができないので舞台上で何をしているのかが理解できず暇を持て余す。そんな中で父親は周りの人がポーラの歌声を聞き泣いているのに気づく。聞くことはできないが、必死に何かを感じ取ろうとする父親の姿に涙が止まらない。ポーラが歌う場面で完全に音が消えるシーンはドスンと心に響く。

反対する母親との言い合いで、母かどんな思いで自分を育ててきたかを知る。ポーラは自分が家族を支えているという気持ちが強かったが、自分も家族に支えられていることに気づく。

ポーラの家族を選ぶか、夢を選ぶか。彼女が下した決断はポーラ自身を成長させるだけでなく、家族をも成長させる。そして家族の絆をより深める。それがラストの歌唱シーンで表現されている。助け合うだけでなく、応援し合える家族って素敵。家族の愛、頑張り、音楽に心が温まる作品。