久しぶりに泣いた…。
LiLiCoにススメられて鑑賞した木村拓哉が、外出自粛中に観てほしい映画と言っていたので、どれどれ、どんな感動作なんだと鑑賞。
正直言って良かった。しかめっ面で腕組みして観てたんだけど、のどかな田舎村の景色と家族愛に癒されてホッコリ。
酪農を営む家族の物語で、両親と弟は耳が聴こえず、家族の中で唯一耳が聴こえる娘ポーラが家族の通訳をしながら生活。
美しい歌声を持つポーラは歌手としての才能を見出されるが、彼女の歌声が聴こえない家族は猛反対…。
夢に向かうポーラを主軸に、友情、喧嘩、絆、恋愛、葛藤などがあり、全編通して「聴く」事がテーマに感じられた。
現村長は住民の声を聞かず、耳が聴こえない父は村長選に出馬。
ガブリエルとポーラは会話ができるのに相手の声を聞かずに喧嘩。
そして家族は皆、ポーラの夢の音が聴こえない。
ポーラの人生は家族のためにあるのか、自分のためにあるのか。
娘がいないと生きていけない家族なら、ポーラは夢を諦め酪農を手伝う人生になるが、それはあまりにも小さな世界だ。歌を忘れたカナリアになる。
娘がいなくても生きる術を身に付けようとする家族と、夢に向かうポーラ。加速度的な盛り上がりを期待したが、年末の発表会でその期待が良い意味で裏切られた。
心が震えるような美声を観客に届けるのではなく家族へ向ける。静寂の中にある微かな音が胸を締め付ける。聾唖者の感覚を少しだけ体感した後、ポーラの喉に手を当てる父に涙腺が緩む。喉の振動を感じながら心で聴いている父が切ない。
そして「青春の翼」でポーラは空を飛んだ。歌を忘れたカナリアが今、カゴから飛び出し大空を舞っている。歌いながら家族に見せる行動に涙腺崩壊。泣いちまった。