えむ

ソング・オブ・ザ・シー 海のうたのえむのレビュー・感想・評価

4.0
『ブレンダンとケルズの秘密』のトム・ムーアの2作目。

アイルランドの伝説となっているセルキー(半人半アザラシの人魚的なやつ)と人間の間に生まれた人の子の兄とセルキーの妹。

成長し、海に呼ばれるようになって本来の居場所に戻っていこうとする妹、振り回されつつも、それを守ろうとすることで成長していく兄、という、冒険を通して人生を選択し、『本来の自分』に還ろうとする物語とも言える。

物語の内容から言っても、前作のようなきらびやかさではないものの、より幻想的になり、独特のデザインと色彩を含めた美しさはここでも変わりません。

民族的なものなのか、どこか優しくも物悲しさの漂うアイルランドの世界観は、やはり日本人の感性にはフィットするものがあるのかな。

決して『陽』なだけでなく、昼と同時に夜の美しさにも惹かれるというのか。

この作品の場合は、ともかく全編に流れて物語を繋いでいくシンプルなメロディがとても耳と心に残ります。
えむ

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