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ソング・オブ・ザ・シー 海のうたのkanaco4月末までお休み中のレビュー・感想・評価

3.3
人間の父親とアザラシの妖精セルキーの母親を持つ少年が、妖精の血の方を濃く受け継いだ妹を悪い魔女から守るために奮闘する成長物語。神話が基だが子供にも安心なハートフルで分かりやすいファンタジーアニメ。可愛いらしいキャラデザ、幻想的な背景、美しい音楽!後半のスタジオジブリっぽさが印象的(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

◆あらすじ◆
父親コナー、言葉を話せない妹シアーシャ、ペットの大型犬クーと暮らしている少年ベン。シアーシャ6歳の誕生日、彼女は鍵がかかった箱から白いコートを発見した。そしてそのコートを着て海へ潜るとシアーシャは白いアザラシの姿となり、自由に水の中を泳ぎ回ることができるのだった。ベンとシアーシャの母親は実は海の妖精セルキーであり、母親の血を濃く受け継いだシアーシャもまたセルキーだったのだ。しかし妖精の力に目覚めた妹をフクロウの魔女が狙い、誘拐する。妹を助けるためベンは妖精と魔法の世界へと飛び込むが…。

❶「アザラシの妖精セルキー」を扱ったアイルランドのファンタジーアニメ

海の妖精「セルキー」はヨーロッパの民間伝承に語られる種族。イメージはマーメイドやセイレーンに近しく、魚や鳥ではなく「アザラシ」姿で海中生活している。陸に上がる時は「アザラシの皮」を脱いで人間に変身する。女性のセルキーの場合、この時に脱いだ「アザラシの皮」を人間に盗まれてしまうと海に戻れなくなり、人間の妻にされてしまう。その人間とセルキーは愛し合っている場合もそうでない場合もあるが、いずれにせよ、もし彼女が自分の皮を見つけたならば直ちに海へ帰ってしまうという。

本作はそんな「アザラシの妖精セルキー」を扱ったアイルランドのアニメーション。ただし、人間とセルキーの恋愛を描いたような内容ではなく、愛し合っている人間の父親と妖精セルキーの母親を持つ少年が、妖精の血の方を濃く受け継いだ妹を悪い魔女から守るために奮闘する成長物語。神話がベースだが子供にも安心なハートフルで分かりやすいファンタジーアニメだった。

なお、セルキー以外にも妖精は出てきたが私が知らない妖精たちだった。でもみんな愉快なおじさん妖精たちだった🤣

❷可愛いキャラクターデザイン、幻想的な背景、美しい音楽!

お話は王道で「ザ・子供向けファンタジーアニメ」という感じだが、アニメーションは大人も子供と一緒に楽しめるほど温かみがあって綺麗だったと思う。人間・妖精のキャラクターや、アザラシやフクロウ、犬などの動物のデザインは可愛らしくデフォルメアレンジされている。デザインの統一を感じる丸っぽいフォルムや渦巻などの文様が多く描かれていることも印象的。背景は淡い色彩のタッチ。絵の具っぽかったりクレヨンだったりと塗りが独特だが、全体的に優しくて幻想的。色味もカラフルだがちょっと秋色っぽい渋みがあって落ち着きがある。

また、物語の鍵になる「伝説を語る歌」やBGMのヴァイオリンの音色が世界観にマッチしていて素敵だった。総合的な映画イメージは全然違うけど、音楽だけは途中PS3オンライン専用ゲーム『風ノ旅ビト』の曲イメージに近い美しい感じだった

❷後半からのスタジオジブリっぽさが印象的

U-nextの「見どころ」欄に「ポスト・スタジオジブリと称されるアイルランドの制作会社が手掛けた映像」とあった。前半はそれほど気にならなかったのだが、後半の主人公ベンと魔女マカが出会った辺りからは確かにジブリの「影響」…というか演出もキャラクターの動きも完全にジブリっぽくてちょっとビックリしてしまった。

🎵~🐝「全体的に可愛らしい感じのファンタジーアニメーションでした。ホラーを求める私にはあまりにも刺激が薄すぎる内容だったので好みではありませんでしたが、大人と子供が一緒に鑑賞する場面などには適した作品なのかも。少年は頑張っていましたが、彼のパートナーである犬のクーが名犬だったことの方が印象に残りました(笑)彼の活躍なしにはシアーシャは助からなかったに違いない!🐕」