民俗学でいう異類婚姻譚、白鳥処女説話のひとつ、アイルランドやスコットランドに伝わるセルキーの神話を元にしたお話。
日本で言うとかぐや姫、鶴の恩返し、羽衣伝説などがあてはまりますが、世界各地に似たような話が伝播していて、要は異なる種族を夫や妻にし、一緒に生活するというお話。ほとんどの例では妻は元の世界に帰ってしまいます。
元の世界に帰る例はこの「ソング・オブ・ザ・シー」でも例外ではなくて、人間の夫とあざらしの妻とでしあわせな暮らしをしていたのですが、妻は海が恋しくなり、ある日、家族を捨てて海に戻ってしまいます。
物語は妻が海に帰ったあとの世界を描いていて、どうやって家族、特に残された兄妹が母親ともう一度心を通わせられるかというところを描いているのですが、自分としてはこういう赦しのあるお話に弱くて最後終始涙が流れてしまいました。
とても素敵なお話だと思います。
