三畳

ソング・オブ・ザ・シー 海のうたの三畳のレビュー・感想・評価

4.8
芸術的な作品ってこういうのを言うんでしょうね!
あー凄かった
キャラはアメコミというかカートゥーン系だけど、
それ以外の全てがもう、トレーシングペーパーを重ねたみたいなレイヤーだったり厚い紙に滲んだ水彩っぽかったり、一枚一枚美しさに溢れてて毎秒が幸せ。

ストーリーはシンプルな妖精ファンタジーな神話を基軸に、家族の絆と少年の成長冒険譚だったりするだけなんだけど、その表現力が圧倒的ゆえ、受け入れ態勢120%なのでぽろぽろ心に染み入って泣いちゃう。

マカというフクロウの魔女的な敵が出てくるのですが、絵柄は地続きのかわいいタッチのままで、恐ろしさ満開で感動した!
このキャラの変貌は「ハウルの動く城」の荒地の魔女っぽさがありました。

他にも随所にポニョさやハウルさは感じました。モチーフもそうだし、異界設定をその場その場で小出しにしてくるとことか、それでもこちらとしては全然構わないとことか。

あと、主人公たちの祖母のお顔の線、石になった妖精たちのキャラデザも良かった。

髪の毛がそうめんのように洞窟中に伸び切ってる長老的なキャラがいて、その髪の毛1本1本は記憶で。切れたら物語が終わってしまう、光る糸のように洞窟を導いてくれるなんて素敵〜!

主人公は声が出ないけど巻き貝を吹くとその優しい音色に光のつぶつぶが集まってくる!きれい・・・
ほんとずっとみとれていた。
まず灯台が照らし出す波の端の輪郭がきらっとぐるりを周る輝き・・・

見たことない美しさというか
このお話の言わんとしている題材と美術とがベストマッチで、アニメであることの意味、このアートをやるにはこのお話、と相互に引き立て合ってた
全部スクショして布にして身に纏いたいよ

てか、これを観た日、Gudrunsjodenという一番好きなブランドの夏服を着てたのですが、
この映画が好きな方はきっとお似合いになるのでぜひググってみて欲しいのですが
北欧の細かいテキスタイルの柄がこの世界観とびっくりするほど通じてて、劇場が明るくなった瞬間に自分を見て嬉しく、ただでさえ好きな服が一層特別なものになった〜
三畳

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