シーバゲッジ

14の夜のシーバゲッジのレビュー・感想・評価

14の夜(2016年製作の映画)
4.6
これは文句なしの高評価。素晴らしい作品。
アマプラの配信終了間近ということであまり期待せずになんとなく観たのだが、間違いなく観て正解であった。

楽しくて笑えるけど、途中悲しくなったり切なくなったり、、そして最後は、、人それぞれ色んな感情でラストを迎える。
2時間弱で色んな感情が湧き上がってくる作品。

平成が幕を開ける少し前、鳥取のど田舎での話。性への欲望に満ち溢れた田舎の中3男子が、町に唯一のレンタルビデオ屋にサイン会での来店が噂されるAV女優に会いに行くある一晩の物語。一見とんでもなくアホなように思えるがそうではない。この作品を見て「男ってバカだねえ」の一言で片付けるのは勿体なさすぎる。

十分すぎるほどに自我が芽生え、学校という小さな社会の中での自分の立ち位置を認識したり、どうしても周りと比較してしまう時期。そこにきて異性や性への関心も芽生えてくる。そんな難しい時期、自分にもあったなあ。そんな過去の自分を主人公と重ね合わせながら鑑賞してたら何故だろう、突然ノスタルジックな気分になってどんどん作品に引き込まれていった。

いつまでたっても夢の叶わない冴えない父親や、キラキラと輝いている姉の婚約者の対照的な演出、また彼らに翻弄される冴えない主人公の描写が見事であった。何者でもない彼らの漠然とした不良少年への憧れなど、思わず感情移入してしまう脚本が見事。当時を彷彿とさせるポスターやファッション、台詞や演出も良かった。

今までたくさんの青春映画を観てきたけどこの視点は思い浮かばんかったなあ。でも思い返してみると中学生時代なんて経験もないエロいことをひたすら想像してたもんな、、それが男子中学生の全てやった。

あんな時期を過ごしてどうにかこうにか大人になったかつての少年たちみんなに見て欲しい映画。